安全性
使用成績調査(54週報告)についてご紹介します。
有効性
ウリアデック錠の尿酸低下作用についてご紹介します。
腎機能障害患者への投与について
腎機能障害患者への投与時のポイントについてご紹介します。
01 安全性
使用成績調査54週報告
※安全性解析対象例4,329例中に承認外の成績(1例;痛風、高尿酸血症以外)を含む。本症例はトピロキソスタットを服用したため、安全性解析対象に含めた。
安全性解析対象例数4,329例における全体の副作用発現症例率は、6.95%(301例)であった。
主な副作用は、肝機能異常39例(0.90%)、痛風関節炎34例(0.79%)、腎機能障害及びそう痒症が各15例(0.35%)、肝障害12例(0.28%)であった。
痛風関節炎、肝機能障害、皮膚障害の副作用発現状況
発現症例数 | 発現率(%) | |
---|---|---|
痛風関節炎 | 34 | 0.79 |
肝機能障害 | 75 | 1.73 |
皮膚障害 | 41 | 0.95 |
※肝機能障害は、臨床検査値の異常変動も含む。
※肝機能障害には肝機能異常、肝障害、肝機能検査値の上昇などを含む。
※皮膚障害にはそう痒症、発疹、薬疹などを含む。
特別な背景を有する患者(高齢者、肝機能障害患者、腎機能障害患者及び女性患者)における安全性
区分 | 症例数 | 発現症例数 | 発現率(%) | 検定 | |
---|---|---|---|---|---|
年齢 | 65歳未満 | 1,965 | 131 | 6.67 | p=0.1216 (X2検定) |
65歳以上75歳未満 | 1,126 | 69 | 6.13 | ||
75歳以上 | 1,238 | 101 | 8.16 | ||
肝機能障害 [AST/ALT(U/L)] |
なし(50未満) | 3,137 | 238 | 7.59 | p=0.4665 (X2検定) |
軽度(50以上100未満) | 360 | 28 | 7.78 | ||
中等度(100以上500未満) | 72 | 2 | 2.78 | ||
重度(500以上) | 2 | 0 | 0.00 | ||
不明 | 758 | 33 | 4.35 | - | |
腎機能障害 [eGFR(mL/min/1.73m2)] |
なし(90以上) | 257 | 19 | 7.39 | p=0.1127 (X2検定) |
軽度(60以上90未満) | 1,359 | 83 | 6.11 | ||
中等度(30以上60未満) | 1,551 | 133 | 8.58 | ||
高度(15以上30未満) | 356 | 29 | 8.15 | ||
末期腎不全(15未満) | 203 | 19 | 9.36 | ||
不明 | 603 | 18 | 2.99 | - | |
性別 | 男 | 3,478 | 233 | 6.70 | p=0.2009 (Fisherの直接確率計算法) |
女 | 851 | 68 | 7.99 |
※肝機能障害は投与開始時のAST/ALTのみ、腎機能障害は投与開始時のeGFRのみで判定。
その他解析項目(心血管イベントの有害事象発現状況※、腎及び尿路障害の副作用発現状況)
発現症例数 | 発現率(%) | ||
---|---|---|---|
神経系障害 | 脳幹梗塞 | 1 | 0.02 |
大脳動脈塞栓症 | 1 | 0.02 | |
脳出血 | 3 | 0.07 | |
脳梗塞 | 11 | 0.25 | |
塞栓性脳卒中 | 1 | 0.02 | |
くも膜下出血 | 1 | 0.02 | |
椎骨動脈狭窄 | 1 | 0.02 | |
血栓症脳梗塞 | 1 | 0.02 | |
心臓障害 | 急性心筋梗塞 | 3 | 0.07 |
狭心症 | 1 | 0.02 | |
冠動脈硬化症 | 1 | 0.02 | |
冠動脈疾患 | 1 | 0.02 | |
心筋虚血 | 1 | 0.02 | |
急性冠動脈症候群 | 2 | 0.05 | |
傷害、中毒 及び 処置合併症 | 硬膜下血腫 | 5 | 0.12 |
硬膜下出血 | 1 | 0.02 | |
有害事象発現症例率 | 0.79(34/4,329例) | ||
腎及び尿路障害 | 尿路結石 | 1 | 0.02 |
出血性膀胱炎 | 1 | 0.02 | |
臨床検査 | 尿中血陽性 | 5 | 0.12 |
有害事象発現症例率 | 0.16(7/4,329例) |
※心血管イベントの有害事象には本剤との因果関係があるものだけではなく、因果関係なしと判断されたものも含む。
試験概要
- 目的
- 委受託契約を締結した医療機関において、痛風・高尿酸血症患者を対象にトピロキソスタットを新たに使用した際の使用実態下における安全性と有効性を検討する。
- 方法
- 中央登録方式で前向きに症例を登録し、Electronic Data Captureを用いてトピロキソスタットを54週間投与した際の情報を収集した。4,642例が登録され、安全性解析対象症例が4,329例、有効性解析対象症例が4,253例であった。投与方法は本剤の用法及び用量に従った。
- 調査項目
- 患者背景、本剤の投与状況、併用薬、安全性(有害事象、臨床検査値)、有効性(血清尿酸値の推移、低下率及び6mg/dL以下の達成率)
- 重点調査項目
- 痛風関節炎、肝機能障害、皮膚障害の副作用発現状況、特別な背景を有する患者(高齢者、肝機能障害患者、腎機能障害患者、女性患者)における安全性及び有効性
- その他解析項目
- 心血管イベントの有害事象発現状況、腎及び尿路障害の副作用発現状況
- 解析方法
- 患者背景及び重点調査項目における部分集団の検定はχ2検定、あるいはFisherの直接確率計算法を用い、有意水準5%未満(両側)を有意とした。
※Ishikawa T et al.: Clinical Drug Investigation. Published online: 03 July 2020
本調査は(株)三和化学研究所、(株)富士薬品により行われた。
02 有効性
用量設定試験(第Ⅱa相試験)
ウリアデックの血清尿酸値低下作用には用量反応性が認められた。
血清尿酸値変化率[主要評価項目]
尿酸値の推移[副次評価項目]
安全性(主な副作用:5%以上)
ウリアデック80mg/日群では24例中9例(37.5%)で副作用が認められ、主な副作用は痛風関節炎4例(16.7%)、ALT増加4例(16.7%)、γ-GTP増加3例(12.5%)、AST増加2例(8.3%)、β-NAG増加2例(8.3%)であった。ウリアデック120mg/日群では25例中8例(32.0%)で副作用が認められ、主な副作用は痛風関節炎3例(12.0%)、四肢不快感2例(8.0%)であった。ウリアデック160mg/日群では25例中10例(40.0%)で副作用が認められ、主な副作用は痛風関節炎5例(20.0%)、β-NAG増加3例(12.0%)であった。
試験概要
- 目的
- 痛風を含む高尿酸血症患者を対象に、ウリアデックの安全性及び投与終了時における血清尿酸値低率を指標に用量反応性及び至適用量の検討を探索的に行う。
- 対象
- 痛風を含む高尿酸血症患者(血清尿酸値:8.0mg/dL以上)74例[ウリアデック80mg/日群24例、ウリアデック120mg/日群25例、ウリアデック160mg/日群25例]
- 試験方法
- 他施設共同無作為化二重盲検並行群間比較試験
- 投与方法
- ウリアデック80mg/日群、120mg/日群及び160mg/日群に無作為化し、ウリアデックを1日2回(朝夕食後)、12週間経口投与した。ウリアデックは40mg/日から開始し、投与開始2週後に80mg/日、120mg/日又は160mg/日へ増量した。
- 評価項目
- (主要評価項目)血清尿酸値変化率 (副次評価項目)血清尿酸値6.0mg/dL以下の達成率、血清尿酸値変化量 等
- 解析計画
- 投与終了時における投与前値からの血清尿酸値低下率(主要評価項目)は、Jonckheere-Terpstra検定により用量反応性を検討する。また、投与群間でt検定を行う。投与終了時の血清尿酸値について、投与12週後の測定値が欠損している場合は、投与8週後の測定値を用いる。
※(株)三和化学研究所 社内資料:第Ⅱ相(Ⅱa)試験(12週間)【承認時評価資料】
03 腎機能障害患者への投与について
ウリアデック錠は正常~中等度腎機能障害患者で通常用量で処方可能です。
腎機能別の血漿中薬物濃度推移
- 試験概要
- 腎機能正常群、軽度低下群、および中等度低下群の各被験者にウリアデック80mg単回経口投与知った際の血漿中薬物濃度推移を示した。
※中澤俊ほか『薬理と治療』43(5) 639-645,2015
代謝及び排泄(外国人データ)
活性:キサンチン酸化還元酵素に対する阻害活性
- 試験概要
- 健康成人男性6例に[14C]トピロキソスタット80mgを空腹時単回経口投与した時の投与後192時間までの代謝物も含めた排泄率(投与量に対する割合)
※(株)三和化学研究所 社内資料:マスバランス試験【承認時評価資料】
中等度腎機能障害(CKDステージ3)合併高尿酸血症患者対象試験(第Ⅲ相試験)
ウリアデックはCKDステージ3合併患者において忍容性と優れた尿酸低下作用が認められた。
血清尿酸値変化率(検証的解析結果)
[主要評価項目]
血清尿酸値 初期値 (mg/dL) |
ウリアデック群 | プラセボ群 |
---|---|---|
8.47±1.24 | 8.47±1.28 |
血清尿酸値6.0mg/dL以下達成率
[副次評価項目]
eGFR変化量(検証的解析結果)
[主要評価項目・参考情報]
eGFR初期値 (mL/min/1.73㎡) |
ウリアデック群 | プラセボ群 |
---|---|---|
49.40±8.93 | 48.89±8.51 |
尿アルブミン/クレアチニン比変化率
[副次評価項目・参考情報]
ACR初期値(IQR) ※幾何平均値 (mg/g・Cr) |
ウリアデック群 | プラセボ群 |
---|---|---|
41.71 (12.53-132.70) |
29.92 (11.05-48.15) |
安全性(主な副作用:10%以上)
副作用はウリアデック群で62例中25例(40.3%)、プラセボ群では60例中14例(23.3%)に認められた。主な副作用はウリアデック群では痛風関節炎9例(14.5%)、ALT増加6例(9.7%)、AST増加5例(8.1%)、プラセボ群では痛風関節炎4例(6.7%)、AST(GOT)増加2例(3.3%)、尿中アルブミン陽性3例(5.0%)であった。重篤な副作用として多発性関節炎が1例(1.6%)に認められ、副作用により投与中止に至った症例は3例(AST増加、ALT増加、湿疹、多発性関節炎)であった。
試験概要
- 目的
- 中等度腎機能障害(CKDステージ3)を合併した痛風を含む高尿酸血症患者を対象にプラセボを対照とした無作為二重盲検比較試験により、トピロキソスタットのプラセボに対する有効性及び安全性を検討する。
- 方法
- 多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験
ウリアデック又はプラセボを1日2回、22週間経口投与した。ウリアデックは40mg/日から開始し、投与開始2週後に80mg/日、6週後に120mg/日、14週後に160mg/日へ段階的に増量した。 - 評価項目
- (主要評価項目)血清尿酸値低下率、eGFR変化量
(副次評価項目)血清尿酸値変化量、血清尿酸値6.0mg/dL以下の達成率、尿アルブミン/クレアチニン比(ACR)等 - 統計解析
- ACR変化率については初期値ACR、eGFR変化量については初期値eGFR、初期値ACR、初期値HbA1cを共変量とした。
- 9.特定の背景を有する患者に関する注意(一部抜粋)
- 9.2 腎機能障害患者 9.2.1 重度の腎機能障害のある患者
重度の腎機能障害のある患者(eGFR 30mL/min/1.73m2未満)を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
「禁忌を含む使用上の注意」等は電子添文をご参照ください