メトアナ 製品紹介

01 安全性

安全性解析対象症例452例において副作用発現割合は3.98%(18例)であり、その内訳は、便秘が4例(0.88%)、急性心筋梗塞が2例(0.44%)、貧血、低血糖、器質化肺炎、腹痛、上腹部痛、胃炎、悪心、糖尿病性腎症、腎機能障害、末梢性浮腫、血中トリグリセリド増加および肝酵素上昇が各1例(0.22%)であった。

重篤な副作用は、急性心筋梗塞が2例(0.44%)、器質化肺炎が1例(0.22%)であった。
副作用発現後、18例のうち9例(50.0%)が本剤の投与を中止した。(急性心筋梗塞 2例、便秘 2例、腹痛 1例、上腹部痛 1例、糖尿病性腎症 1例、腎機能障害 1例、末梢性浮腫 1例)

安全性解析対象症例 452
副作用発現症例数 18
副作用発現割合 3.98%
副作用の種類 種類別発現症例数(%)
血液およびリンパ系障害 1(0.22)
 貧血 1(0.22)
代謝および栄養障害 1(0.22)
 低血糖 1(0.22)
心臓障害 2(0.44)
 急性心筋梗塞 2(0.44)
呼吸器、胸郭および縦隔障害 1(0.22)
 器質化肺炎 1(0.22)
胃腸障害 8(1.77)
 腹痛 1(0.22)
 上腹部痛 1(0.22)
 便秘 4(0.88)
 胃炎 1(0.22)
 悪心 1(0.22)
腎および尿路障害 2(0.44)
 糖尿病性腎症 1(0.22)
 腎機能障害 1(0.22)
一般・全身障害および投与部位の状態 1(0.22)
 末梢性浮腫 1(0.22)
臨床検査 2(0.44)
 血中トリグリセリド増加 1(0.22)
 肝酵素上昇 1(0.22)

試験概要

対象
本調査の委受託契約を締結した医療機関において、承認に係る効能又は効果および用法及び用量に従ってメトアナ配合錠を新たに使用する2型糖尿病患者とした。
期間
登録期間:2019年2月~2020年3月
調査期間:2019年2月~2020年9月
症例数
登録症例:455例、安全性解析対象症例:452例、有効性解析症例:433例
方法
電子データ収集システムを用い、中央登録方式による症例登録および調査データの収集を行った。メトアナ配合錠の用法及び用量に従い、「通常、成人には1回1錠(アナグリプチン/メトホルミン塩酸塩として100mg/250mg又は100mg/500mg)を1日2回朝夕に経口投与する」とした。また、調査開始時には中等度以上の腎機能障害および透析患者(腹膜透析を含む)は禁忌であったが、メトアナ配合錠の添付文書の改訂に伴い、2019年7月より中等度腎機能障害患者を禁忌から外した。観察期間はメトアナ配合錠投与開始から24週とし、何らかの理由により投与を中止または終了した場合は、その時点で調査を終了とした。
調査項目
登録情報、患者背景、メトアナ配合錠の使用状況、前治療薬・併用薬の状況
臨床検査:安全性項目(体重、AST、ALT、血清クレアチニン、TG、TC、LDL-C、HDL-C)
     有効性項目(HbA1c、血糖値)
安全性:低血糖の発現状況及び腎機能障害患者への投与時の安全性(安全性検討事項)など
解析方法
安全性の患者背景別の解析では、「不明・未記載」および「その他」は検定の対象から除き、Fisherの直接確率検定、χ2検定またはCochran-Armitageの傾向検定を用いた。臨床検査値および有効性の患者背景別の解析では、各時点で投与開始前後の検査値が測定された症例の変化量を算出し、1標本t検定を用いた。統計的仮説検定については、有意水準を0.05とし、両側検定とした。

石田 力 他:薬理と治療 49(6) 889,2021
本調査は(株)三和化学研究所により行われた。著者はすべて(株)三和化学研究所の社員である。

02 有効性

アナグリプチンに対するメトホルミン塩酸塩追加併用試験(国内第Ⅲ相試験)<検証試験>

アナグリプチンで効果不十分な患者さんにメトホルミンを追加併用することでメトホルミンの用量に応じた優れたHbA1c低下作用を示しました。

24週最終評価時のHbA1c変化量 [主要評価項目]

初期値 アナグリプチン
+プラセボ群
アナグリプチン
+メトホルミン250mg群
アナグリプチン
+メトホルミン500mg群
平均値±標準偏差(%) 7.82±0.78 7.93±0.69 8.02±0.98

安全性

副作用は、アナグリプチン+プラセボ群55例中5例(9.1%)、アナグリプチン+メトホルミン250㎎群53例中1例(1.9%)、アナグリプチン+メトホルミン500㎎群50例中5例(10.0%)に認められた。認められた副作用は、アナグリプチン+プラセボ群の腹部膨満、慢性胃炎、便秘、胃食道逆流性疾患、心窩部不快感、尿中血陽性が各1例(1.8%)、アナグリプチン+メトホルミン250㎎群の下痢が1例(1.9%)、アナグリプチン+メトホルミン500㎎群の腹部不快感2例(4.0%)、便秘、下痢、排便障害が各1例(2.0%)であった。
本試験において、死亡に至った副作用及び重篤な副作用、投与中止に至った副作用は認められなかった。

試験概要

対象
食事療法又は食事療法・運動療法に加えてアナグリプチン100mg1日2回投与で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者(投与開始前2~6週間のHbA1c:7.0%以上10.5%未満)158例
方法
多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検群間比較試験。
アナグリプチン100mg1日2回投与に対するプラセボ1日2回追加投与群(以下、[A+P]群)、メトホルミン塩酸塩250mg1日2回追加投与群(以下、[A+M250]群)又はメトホルミン塩酸塩500mg1日2回追加投与群(以下、[A+M500]群)の3群に無作為割り付けし、朝夕食直前に24週間経口投与した。なお、[A+M500]群においては、メトホルミン塩酸塩250mg1日2回を4週間追加投与し、引き続きメトホルミン塩酸塩500mg1日2回を20週間追加投与した。
評価項目
有効性の主要評価項目:24週最終評価時のHbA1c変化量(検証的な解析項目)
安全性:副作用など
解析方法
主要評価項目:24週最終評価時のHbA1c変化量について、投与群を因子とした分散分析モデルを用いて[A+M250]群及び[A+M500]群の[A+P]群に対する優越性を閉手順を用いて検証した。手順は、各投与群に対して対比係数(−1,0,1)を用いた[A+M500]群と[A+P]群の対比検定を行い、検定に対応する点推定値及び両側95%信頼区間を推定する。有意であれば、対比係数(−1,1,0)を用いた[A+M250]群と[A+P]群の対比検定を行い、点推定値及び両側95%信頼区間を推定する。副次解析として、対比係数(0,-1,1)を用いて[A+M500]群と[A+M250]群の対比検定を行い、検定に対応する点推定値及び両側95%信頼区間を推定した。欠測値については、0週は観察期の評価データ、24週はLOCF法で補填した。

(株)三和化学研究所 社内資料:アナグリプチンに対するメトホルミン追加併用試験(承認時評価資料)

メトホルミン塩酸塩に対するアナグリプチン追加併用試験(国内第Ⅲ相試験)<検証試験>

メトホルミンで効果不十分な患者さんにアナグリプチンを追加併用することでHbA1c低下作用が認められました。

24週最終評価時のHbA1c変化量 [主要評価項目]

初期値 メトホルミン250mg
+プラセボ群
メトホルミン250mg
+アナグリプチン群
メトホルミン500mg
+プラセボ群
メトホルミン500mg
+アナグリプチン群
平均値±標準偏差(%) 7.56±0.82 7.74±0.71 7.73±0.81 7.79±0.81

安全性

副作用は、メトホルミン250㎎+プラセボ群は44例中1例(2.3%)、メトホルミン250㎎+アナグリプチン群は41例中3例(7.3%)に認められた。主な副作用はメトホルミン250㎎+プラセボ群の悪心、側腹部痛が各1例(2.3%)、メトホルミン250㎎+アナグリプチン群のアラニンアミノトランスフェラーゼ増加、アミラーゼ増加など各1例(2.4%)であった。
メトホルミン500㎎+プラセボ群は41例中1例(2.4%)、メトホルミン500㎎+アナグリプチン群は83例中3例(3.6%)に認められた。主な副作用は、メトホルミン500㎎+プラセボ群のγ-グルタミルトランスフェラーゼ増加、頭痛が各1例(2.4%)、メトホルミン500㎎+アナグリプチン群の便秘、消化不良など各1例(1.2%)であった。本試験において、死亡に至った副作用及び重篤な副作用は認められなかった。投与中止に至った副作用はメトホルミン500㎎+アナグリプチン群で1例(血中乳酸増加)に認められた。

試験概要

対象
食事療法又は食事療法・運動療法に加えてメトホルミン塩酸塩250mg又は500mg1日2回投与で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者(投与開始前2~6週間のHbA1c:7.0%以上10.5%未満)209例[メトホルミン塩酸塩250mg1日2回投与:85例、メトホルミン塩酸塩500mg1日2回投与:124例]
方法
多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検群間比較試験
メトホルミン塩酸塩250mg1日2回投与に対するプラセボ1日2回追加投与群又はアナグリプチン100mg1日2回追加投与群の2群に無作為割り付けし、朝夕食直前に24週間経口投与した。また、メトホルミン塩酸塩500mg1日2回投与に対するプラセボ1日2回追加投与群又はアナグリプチン100mg1日2回追加投与群の2群に無作為割り付けし、朝夕食直前に24週間経口投与した。
評価項目
有効性の主要評価項目:24週最終評価時のHbA1c変化量(検証的な解析項目)
安全性:副作用など
解析方法
2標本t検定により群間比較を行い、検定に対応する点推定値及び両側95%信頼区間を推定した。欠測値については、0週は観察期の評価データ、24週及び52週はLOCF法で補填した。

(株)三和化学研究所 社内資料:メトホルミンに対するアナグリプチン追加併用長期試験(承認時評価資料)

03 腎機能障害患者への投与について

メトアナ配合錠は正常~中等度腎機能障害患者で処方可能です

2019年6月のメトホルミン含有製剤における使用上の注意の改訂により、メトアナ配合錠は正常~中等度腎機能障害患者で処方可能となりました。メトアナ配合錠の配合成分であるDPP-4阻害薬スイニーが中等度腎機能障害患者まで用量調節不要であるため、メトアナ配合錠は中等度腎機能障害患者でも処方可能です。

腎機能の程度 正常 軽度低下 中等度低下 重度低下
eGFR (mL/min/1.73m2) 90以上 89~60 59~45 44~30 30未満
メトホルミン塩酸塩 最高投与量 2250mg/日 最高投与量の目安
1500mg/日
最高投与量の目安
750mg/日
禁忌
メトアナ配合錠LD
(メトホルミン塩酸塩250mg/アナグリプチン100mg)
1回1錠、 1日2回
禁忌
メトアナ配合錠HD
(メトホルミン塩酸塩500mg/アナグリプチン100mg)
1回1錠、 1日2回
禁忌

中等度腎機能障害患者(eGFR30以上60未満)では、メトホルミンの血中濃度が上昇し、乳酸アシドーシス発現リスクが高くなる可能性があるため以下の点にご注意ください。特にeGFR30以上45未満の患者には有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与をお願いします。

投与開始時

メトホルミン塩酸塩を少量より開始し、効果を観察しながら徐々に増量するなど、慎重に投与量を調節することが必要であるため、本剤投与がアナグリプチン及びメトホルミン塩酸塩の各単剤の併用療法より適切であるか慎重に判断してください。

投与時

本剤に含まれるアナグリプチン及びメトホルミン塩酸塩の量、メトホルミン塩酸塩単剤の1日最高投与量の目安(上表を参照)も考慮して本剤の投与量を決めてください。

投与中

投与中は、より頻回に腎機能(eGFR等)を確認するなど慎重に経過を観察し、投与の適否及び投与量の調節をご検討ください。

電子添文の「9.特定の背景を有する患者に関する注意」も参考にしてください

「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等は電子添文をご参照ください