測定原理
1.測定原理
検体(全血)を本品の先端から吸引させると、本品中のフラビンアデニンジヌクレオチド‐グルコースデヒドロゲナーゼと血液中のグルコースが反応し、3-(2',5'-ジスルホフェニルイミノ)-三水素‐フェノチアジン‐ビス‐ナトリウム塩(電子伝達体)が還元されて還元型電子伝達体を生成します。
この還元型電子伝達体量は、グルコース濃度に比例しており、電気化学的に酸化することによって電流を生じ、これを測定したあと、得られた値をグルコース濃度に換算します。
2.特徴
本品と専用測定器を用いた血糖測定システムには、以下のような特徴があります。
(1)GDH法を測定原理としているので、酸素分圧の影響を受けません。
(2)マルトース、ガラクトース、イコデキストリンの影響を受けません。
(3)ヘマトクリット値5~70%の範囲で影響を受けません。
使用上の注意
1.センサーについて
(1)本品は専用測定器グルテストアクアのみに使用してください。
(2)本品をよごれた手、またはぬれた手で取り扱ったり、長時手の中で保持しないでください。異常値を示したり、測定不能の原因となります。
(3)本品は結露しないよう使用してください。本品を高湿度下に置いたとき、または急激に温度変化させたときに結露するおそれがあります。
(4)病原菌などによる感染の危険性もありますので、本品の取り扱いは清潔な手で行ってください。
(5)本品を専用測定器のセンサー挿入口に挿し込むときに、無理に力を入れて折り曲げたりしないでください。異常値を示したり、測定不能の原因となります。
(6)本品は使い捨てですので、再使用しないでください。測定済みおよび、血液を少しでも吸引した本品を再使用すると、異常値を示したり、測定不能の原因となります。
(7)使用後の本品は感染の危険性があるため、他の人に触れないように廃棄してください。
(8)採血部は感染の危険性があるため、採血後の処置を適切に行ってください。
(9)使用期限を過ぎた本品は使用しないでください。使用した場合、異常値を示す原因となります。使用期限は本品のボトル、もしくはアルミパックと包装箱に表示されています。
(10)本品および測定器具一式は、乳幼児の手に触れないところに保管し、飲み込まないように注意してください。万一飲み込んだときは、直ちに医師に相談してください。
(11)本品は、本書に記載の貯蔵方法にしたがって保存してください。それ以外の保存では、異常値を示す原因となります。特に、0℃以下の保存は絶対避けてください。試薬の凍結や室温へ戻した場合の融解により、異常値を示す原因となります。
2.ボトル包装について
(1)ボトルから取り出した本品はすぐに使用してください。また、開封したボトルはすぐにふたを閉めてください。長時間放置すると異常値を示したり、測定不能の原因となります。
(2)一度開封したボトルの本品は6カ月以内に使い切ってください。6カ月を過ぎて使用した場合は、異常値を示す原因となります。
(3)開封後6カ月以内であっても、使用期限を過ぎた本品は使用しないでください。使用した場合、異常値を示す原因となります。
(4)使用していない本品はボトルに入れ、しっかりとふたを閉めて保存してください。
(5)本品を他のボトルへ移し替えたり、他のボトルのセンサーを本品のボトルに混入させないでください。万一混入させた場合は、そのボトルに入ったセンサーの使用を中止してください。
(6)本品をボトルから取り出したまま放置したり、使い終わったボトルやボトル以外の別容器等に保存しないでください。異常値を示したり、測定不能の原因となります。
3.アルミパック包装について
(1)アルミパックを開封するとき、力を入れて開けると、本品が飛び出すことがありますのでご注意ください。
(2)アルミパック開封後はすぐに使用してください。長時間放置すると異常値を示したり測定不能の原因となります。
(3)血糖値を測定したあとの本品には、血液が付着しています。病原微生物の感染を防ぐために、医師の指示に従って、他の人に触れないように包装されていたアルミパックにくるんで捨ててください。
4.その他の注意事項
(1)専用測定器は5℃~45℃の環境で、結露していない状態で使用してください。結露は異常値、誤作動の原因となります。専用測定器を高湿度下に置いたとき、または急激に温度変化させたときに結露すおそれがあります。
(2)専用測定器を収納ケースから取り出し、使用場所に20分~30分以上放置して、環境温度になじませてから測定を行ってください。専用測定器を移動した場合は温度差が大きいほど
なじむまでの時間が必要です。なじんでいない場合、温度補正が正常に行われず、異常値を示す原因となります。
(3)専用測定器のセンサー挿入口付近を手で持たないでください。温度補正が正常に働かず、異常値を示す原因となります。
(4)テレビ、電子レンジ、携帯電話、低(高)周波治療器等、電磁波を発生する電子機器付近で測定しないでください。正しい測定結果が得られない可能性があります。
(5)測定値に疑問を感じた場合には、再度測定を行ってください。それでも疑問に感じるときは医師に相談してください。
操作方法
基本的な操作方法を以下に示します。
詳しい操作方法については、グルテストアクアの添付文書及び、取扱説明書をお読みください。
[注意]採血部位は洗浄して清潔に保ち、よく乾かしてから採血を行ってください。
1.センサーの取出し
[注意]ボトル、アルミパックからセンサーを取り出す際にはよごれた手、またはぬれた手で取り扱ったり、長時間手の中で保持しないでください。
《ボトル包装》
ボトルのふたを開けてセンサーを取り出します。センサーを取り出したら、すぐにふたを閉めてください。
[注意]センサーは測定毎にボトルから1枚ずつ取り出してすぐに使用してください。
[注意]新しいボトルを開封した後、センサーは6カ月以内に使い切ってください。
《アルミパック包装》
アルミパックを開封口からはがし、指定のところまで開け、センサーをアルミパックから抜き取ります。なお、アルミパックは捨てずに測定が終わるまで残しておいてください。測定終了後、使用したセンサーを直接手に触れずに抜き取り、廃棄するために必要です。
[注意]センサーは測定毎にアルミパックから1枚ずつ取り出してすぐに使用してください。
2.センサーの挿し込み
センサーを専用測定器のセンサー挿入口から下図のようにおもて面を上にして奥までしっかり挿し込みます。ブザーが鳴り、測定待機の画面を表示します。
[注意]センサーは奥までしっかり挿し込んでください。
[注意]センサーを裏向きに挿し込んだ場合は表示部に「E-6」が表示されてブザーが鳴ります。正しく挿し込みなおしてください。
3.血液の吸引
採血器具を使用し、血液を出します。
センサーの先端に血液を接触させると、血液が吸引されて測定が開始されます。
[注意]血液の吸引は、センサーの先端から行います。センサー表面の丸穴、または表面に血液を滴下しないでください。
[注意]センサー挿入後、測定待機の画面を表示している間(5分間)に血液を吸引しないと測定は出来ません。測定待機の画面表示が消えてしまったときはセンサーを抜き取り、再度挿し込んでから血液を吸引させてください。
[注意]血液は下図のように確実に吸引させてください。血液量が十分でない場合は表示部に「E-9」が表示されてブザーが鳴ります。新しいセンサーで測定しなおしてください。
4.測定開始から7秒後に測定結果(血糖値)が表示されます。
血糖値が10mg/dL未満のとき「Lo」が、600mg/dLを超えたとき「Hi」が表示されます。
操作上の注意
1.妨害物質・妨害薬剤
(1)プラリドキシヨウ化メチルにより、実際の血糖値より高値を示すことがあります。
(2)測定する検体にヨウ化物イオンを遊離するような物質が存在している場合には、偽高値となる可能性があります。2.測定値に影響を及ぼす因子
(1)キシロース吸収試験時(血中濃度19mg/dL以上の場合)には実際の血糖値より高値を示します。キシロース吸収試験時には使用しないでください。
(2)アスコルビン酸等の還元性物質を多く含んだ検体を測定した場合、実際の血糖値より高い値を示します。
(3)ヘパリンを除く抗凝固剤・解糖阻止剤入りの採血管に採血された検体を測定した場合、測定値が異常値を示す場合があります。
(4)解糖阻止剤としてフッ化ナトリウムを使用すると、解糖阻止剤の濃度が高くなるほど実際の血糖値より低い値を示します。
(5)グルタチオンを多く含んだ検体(30mg/dL以上)を測定した場合、実際の血糖値より高い値を示します。
(6)EDTAを多く含んだ検体(878mg/dL以上)を測定した場合、実際の血糖値より低い値を示します。
3.検体について
(1)本品は、検体として全血をご使用ください。血漿および血清は使用しないでください。
(2)本品は、新鮮な検体を使用するように設定されています。採血後はすみやかに測定してください。
(3)本品は新生児血液の測定に適しません。
性能
1.性能
(1)測定範囲:10mg/dL~600mg/dL
(2)感度・正確性・同時再現性:低・中・高濃度の3種類の血液を用いて各10回測定した結果(平均値、S.D.、C.V.)と、全自動全自動グルコース測定装置で測定した検定値を示します。
[グルテストアクア]
試料Ⅰ | 試料Ⅱ | 試料Ⅲ | |
---|---|---|---|
検定値 | 66.7mg/dL | 134.2mg/dL | 339.6mg/dL |
平均値 | 67.1mg/dL | 135.4mg/dL | 338.7mg/dL |
S.D. | 0.9mg/dL | 1.3mg/dL | 4.5mg/dL |
C.V. | 1.3% | 1.0% | 1.3% |
2.相関性
本品とグルテストアクアで指先採血による全血検体を測定した場合と、同一検体を遠心分離して得られた血漿成分を、ヘキソキナーゼ・G-6-PDH法で測定した場合の相関係数および回帰式は以下の通りとなりました。
ヘキソキナーゼ・G-6-PDH法(x) 対 グルテストアクア(y)
N数:100
相関係数:r=0.998
回帰式:y=1.002x-1.785
3.較正用の基準物質(標準物質)
NIST SRM917
警告
【警告】
1.実際の血糖値より高値を示すことがあるので、以下の患者には使用しないこと。[その偽高値に基づきインスリン等の血糖降下剤を投与することにより、昏睡等の重篤な低血糖症状があらわれるおそれがある。] (【操作上の注意】の項参照)
- キシロース吸収試験を実施中の患者
- プラリドキシヨウ化メチルを投与中の患者
2.本品は、原則として患者自身が自宅等で血糖を測定する場合に使用すること。
3.本品および専用測定器での測定結果により、医師の指示なくインスリンなどの投与量又は経口剤を変更しないこと。
4.本品および専用測定器での測定結果について疑問を感じた場合は、速やかに再度測定すること。それでも疑問に感じるときは医師に相談すること。
【重要な基本的注意】
1.指先から採血する場合は、穿刺前に、必ず流水でよく手を洗ってください。
2.果物等の糖分を含む食品などに触れた後、そのまま指先から採血すると指先に付着した糖分が血液と混じり、血糖値が偽高値となるおそれがあります。[アルコール綿による消毒のみでは糖分の除去が不十分との報告があります。]
3.以下のような末梢血流が減少した患者の指先から採血した場合は、血糖値が偽低値を示すことがあるため、静脈血等他の部位から採血した血液を用いて測定してください。
- 脱水状態
- ショック状態
- 末梢循環障害
4.本品は、「グルテストアクア」の専用センサーです。ほかの測定器では使用できません。
【全般的な注意】
1.本品は、体外診断用医薬品でありそれ以外の目的に使用しないでください。
2.本書に記載の使用方法および使用目的以外では、保証いたしません。
3.本品の取り扱いに際しましては、必ず専用測定器の添付文書および、取扱説明書も併せてお読みください。
4.前腕用採血器具をご使用いただくことで、前腕からの採血による測定は可能ですが、次のようなときは指先から採血してください。
- 運動の後など血糖値が急激に変化する可能性があるとき
- 発汗/冷や汗、浮揚感、震えなどの低血糖の症状があるとき
- 血糖低下状態において、すぐに低血糖かどうかを知る必要があるとき
- かぜをひいたときなど、体調のすぐれないとき
※急激な血糖の変動が認められるとき、前腕の血糖変動は指先よりも遅れる場合があるという報告があります。