測定原理
本測定法は、未感作ラテックス液中に溶血液を添加し、検体中に存在するHbをラテックス表面に非特異的に吸着させ、固相化します。ラテックス表面に固相化されるHbA1c量は、検体中に存在する総Hb中に占めるHbA1cの比率に依存します。次に固相化ヒト HbA1cに特異的なモノクローナル抗体を添加することで、抗原抗体複合体が形成され、凝集塊が生じます。この凝集はラテックス表面に固相化したHbA1c量に依存し、検体中の総Hbに占めるHbA1cの比率(%)が凝集量となって現れます。
使用上の注意
1.取り扱い(危険防止)上の注意
(1) 検体及び 採血 器具、使用後の本品はHBV、HCV、HIV等による感染の危険性があるものとして、使い捨て手袋・実験着・保護用眼鏡等を着用し、人体に直接触れないように感染防止に努めて下さい。
(2) 試薬が誤って目や口、皮膚に付着した場合には、直ちに水で十分に洗い流し、必ず医師等の手当てを受けて下さい。
(3) 試薬をこぼした場合には、水で希釈してから拭き取って下さい。検体をこぼした場合には、次亜塩素酸等で消毒した後に拭き取って下さい。なお、拭き取る際にはゴム製手袋等により手を保護して下さい。
2.使用上の注意
(1) 本品は2~8℃に保存した時、化粧箱に表示した使用期限まで使用可能ですが、アルミ袋開封後のカートリッジはできるだけ早く使用して下さい。また、使用期限を過ぎた試薬や、凍結した試薬は使用しないで下さい。
(2) カートリッジを取り扱う際にはカートリッジ保持部をつかみ、測光ウェル、カートリッジ上のバーコード 及び二次元コード 、その 他の部分には触れないよう取り扱って下さい。
(3) カートリッジ内の試薬に気泡が発生している場合や、試薬がカートリッジのシール面に付着している場合は、カートリッジの保持部をつかみ、転倒混和する等して気泡を取り除き、付着した試薬をシール面から落として下さい。
(4) 床に落下した専用ディスポチップ、専用キャピラリ、カートリッジは使用しないで下さい 。
(5) カートリッジ、専用キャピラリ、専用ディスポチップは検体ごとに使用し、再使用しないで下さい。
(6) 専用キャピラリ、専用ディスポチップは使用する直前まで袋から取り出さず、そのまま保管してください。
3.廃棄上の注意
(1) 検体や使用した器具カートリッジ等は感染性があるものとして、オートクレーブ121℃、20分以上)か、次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素濃度1000ppm以上)に1時間以上浸漬して滅菌消毒してから廃棄して下さい。感染性医療廃棄物処理マニュアルがある施設はマニュアルに従って下さい。
(2) 試薬及び器具等を廃棄する場合は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、水質汚濁防止法等の規定に従って処理して下さい。
(3) 試薬保存剤としてアジ化ナトリウム(0.1以下)を含有しています。試薬廃棄の際は、排水管に残留しないよう十分量の水で希釈して洗い流して下さい。
(4) 廃棄処理中に検体等が飛散した場合には、次亜塩素酸等を使用して消毒した後に拭き取って下さい。なお、拭き取る際には ゴム製手袋等により手を保護して下さい。
品目仕様等
10回用
操作方法
操作方法の詳細は各専用装置の取扱説明書及び電子添文を参照下さい。
①本体準備
使用する各専用装置の取扱説明書及び電子添文を参照し本体を準備して下さい。
②カートリッジ準備
(1) 冷蔵保管した試薬キットを30分以上室温に放置して下さい。
(2) 測定の直前に専用キャピラリと専用ディスポチップを袋から必要分のみ取り出し、専用装置の付属品であるカートリッジホルダーに載せてください。
(3) ハサミでカートリッジの入っているアルミ袋の端面を開封し、必要数のカートリッジを取り出して下さい。
(4) すぐに使用しないカートリッジは、アルミ袋に戻し化粧箱に入れて冷蔵保存して下さい。
(5) カートリッジを転倒混和させて下さい。転倒混和後に試薬がシール面に付着していないか確認し、付着している場合は軽くゆすって試薬を落とした後に、カートリッジホルダーに載せて下さい。
(6) カートリッジホルダーに付属している穴開けピンを、専用キャピラリ挿入部(カートリッジ上面の◎印の部分)に突き当たるまで挿込み、回転させる等で十分穴を広げて下さい。
③検体採取
(1) 専用キャピラリをななめ45度位に傾けて持ち、毛細管部を血液に接触させ検体を採取して下さい。
(2) 検体を採取した専用キャピラリを、穴を開けた専用キャピラリ挿入部に突き当たるまで差し込んで下さい。専用キャピラリが浮いた状態で測定すると故障の原因となる場合があります。
(3) 専用ディスポチップをカートリッジの専用ディスポチップ挿入部に挿入して下さい。
④ 測定
(1) 専用装置にカートリッジをセットし、測定を開始して下さい。
(2) 測定が終了すると測定結果が画面に表示され、印刷されます。
操作上の注意
1.測定試料の性質、採取法
・ 検体は、穿刺血液もしくは抗凝固剤入りの採血管にて採血し全血を使用して下さい。
・ 穿刺する際には、アルコール消毒と穿刺後の止血を実施して下さい。また、患者の穿刺部分からの感染に十分に注意して下さい。
・ 採血管はEDTA-2KもしくはNaF入りを使用し、採血後によく転倒混和して下さい。
・ 測定前にも採血管を良く転倒混和してから専用キャピラリに血液を充填して下さい。
・ 検体採取は専用キャピラリを用いて規定量(1 μL)を充填して下さい。毛細管部に空気が入ってしまった場合には、使用せずに廃棄して下さい。
・ 専用キャピラリによる検体採取後は、1分以内にカートリッジに挿入して下さい。凝固した場合は測定できません。
・ 検体採取する際には、専用キャピラリが皮膚に触れないよう取り扱って下さい。
2. 妨害物質
1) 以下の物質はそれぞれ表中の濃度においても測定値への影響は認められませんでした。
・遊離型ビリルビン 40mg/dL
・抱合型ビリルビン 40mg/dL
・乳糜 2000 FTU
・リウマチ因子 500IU/mL
・トリグリセリド 2000mg/dL
・アセトアミノフェン 20mg/dL
・グリベンクラミド 200μg/dL
・メトホルミン 5mg/dL
・イブプロフェン 50mg/dL
・アスコルビン酸50mg/dL
2) シアン酸カリウムを60mg/dLまで添加して生成させたカルバミル化ヘモグロビン、アセチルサリチル酸を 200mg/dLまで添加して生成させたアセチル化ヘモグロビン、グルコースを2000mg/dLまで添加して生成させた不安定型ヘグロビン等の修飾ヘモグロビンは測定にほとんど影響を及ぼしません。
3. その他
本品は専用装置(アイギアプロ S/グリコヘモグロビン分析装置A1c iGear Quick S/A1c iGear S/A1c GEAR S)の専用試薬です。それ以外の機器では測定できません。
性能
1.性能
(1)感度 : 4%付近及び12%付近の既知濃度検体を測定するとき、既知濃度に対して±20%以内です。
(2)正確性 : 既知濃度の検体に対して、既知濃度の±20%以内です。
(3)同時再現性 : 既知濃度の管理検体を6回同時測定するとき、測定変動係数は10%以内です。
(4)測定範囲 : 4.3%~12.5%(NGSP値)です。
2.較正用の基準物質
HbA1c測定用標準物質JCCRM 411