監修

裵 英洙(はい えいしゅ)

ハイズ株式会社代表取締役社長
医師、医学博士、経営学修士(M.D.、Ph.D、MBA

 

金沢大学医学部を卒業後、胸部外科を中心に臨床経験を積んだ後、同大大学院にて外科病理学を専攻。病理医として働くかたわら、慶應ビジネススクールにて医療政策・病院経営を学ぶ。在学中に医療機関再生コンサルティング会社を設立。現在、ハイズ株式会社代表取締役として医療機関の経営支援、ヘルスケア企業の医学アドバイザーなどの業務を行っている。著書に、「医療職が部下を持ったら読む本」「なぜ、一流の人は『疲れ』を翌日に持ち越さないのか」「10の仕事を1の力でミスなく回す トリアージ仕事術」などがある。

第10回 ホームページって開設しただけじゃダメなの? ~強みを生かしたウェブ戦略~

高尿酸血症をふくむ生活習慣病では、診療に対する患者さんの満足が得られなければ、治療自体が成り立ちにくくなります。患者さんの不満は、治療の中断やアドヒアランスの低下などにつながり、クリニックの評価や経営にも影響を及ぼします。しかし、患者さんは医師に対して自分の感情を表現しづらく、医療者側が想像力を働かせ、不満の原因を取り除いていくことが必要だと考えられます。

このコンテンツでは、患者さんと院長のモノローグを通じて、患者満足度向上のポイントを裵 英洙先生にご解説いただきます。

モノローグを見る

Case 10

今回の登場人物

一本槍誠治(55歳、男性)いっぽんやり内科クリニック 院長

5年前に開業。ベッドタウンにある駅から徒歩3分の好立地にあるが、患者数が伸び悩んでいるため、最近ホームページを開設した。専門は内科で、高尿酸血症・痛風の診療を得意としている。性格は楽観的。

赤座彰二(42歳、男性)フリーランスのウェブデザイナー

いっぽんやり内科クリニックの近所に住んでおり、当クリニックのホームページ制作を行った。設置はしたものの、更新やSEO対策をせず放置していることが気がかり。ほぼ毎日飲酒し、運動不足で肥満体型。ある日、痛風発作に見舞われて当クリニックを受診して以降、通い続けている。

赤座彰二は尿酸降下薬を飲み終わると、いっぽんやり内科クリニックのホームページ(HP)にアクセスし、ため息をついた。開設して半年、まったく更新されていない。

HPは開設しただけではダメ

ウェブデザイナーである赤座にとって、自分が制作に携わったHPは子どものようなもの。健やかな成長を願い、できることはやってあげたいのだが、HPの運営方針を決めるのは依頼者だ。一本槍先生が首を縦に振らないと何もしてあげられない。

HP作成のセオリー

HPは開設しただけではダメ

HPで一番大事なのは「開設」ではなくて「運用」です。いったん開設すると満足してしまいがちですが、手間のかかる更新をしていかなければ本来得られるはずのメリットを得ることができません。全部自分でやるのは大変なので、外注するのも一手です。

HP作成のセオリー

HPを作るときには、まず設置目的と閲覧してほしい人物像(ペルソナ)を決め、それに合ったコンテンツを用意するというような順番でやるのがセオリーです。設置してからは、アクセス解析ツール(Google Analyticsなど)を使って分析をして、目的を達成するためには何が足りないかを検討します。多くの場合で有効な対策は、HP内の情報を充実させることです。今回の小説に出てきたクリニックなら、高尿酸血症や痛風の症状や治療に関する詳しい解説を掲載してみるといいかもしれません。HPで大事な要素は「質」「量」「ペルソナ」「見やすさ」ですから、その点に注目して見直しながら、徐々に変えていきます。

人生で初めての痛風発作を経験したのは、約3ヵ月前のことになる。「風が吹いても痛い」とは聞いていたが、「風が吹かなくてもめちゃくちゃ痛い」というほうが正確だった。何とかしてクリニックに辿り着き、一本槍先生の診察を受けて、自分が高尿酸血症を甘く見ていたことを痛感した。もっと多くの人が、あんな思いをしなくて済むようになればいいのに。一本槍先生のあのわかりやすい説明を、ウェブで見られるようにしてあげたらいいのに――。

コンテンツの内容 アトラクションよりもユーティリティ

コンテンツの内容

コンテンツの内容はペルソナによりけりですが、中高年のビジネスマンを想定するのであれば、ビールだけではなくアルコール自体で尿酸値が上がることや、痛風以外の高尿酸血症のリスクなどの情報提供をすると良いのではないでしょうか。コンテンツを作るときに意識したいのが“scene-based”、すなわち具体的なシーンを想起させるように情報を出すということです。たとえば、高尿酸血症の方でよくある生活パターンや薬を飲み忘れやすいシーンを提示して、その対応法や改善策を教えてあげるようなコンテンツは喜ばれると思います。また、患者さんの協力を得て、闘病記のようなコンテンツを一緒に作り上げていくのもいいかもしれません。このように、コンテンツの内容を検討する際には「生活者目線」を大事にすることがポイントです。

アトラクションよりもユーティリティ

「コンテンツの充実を」といわれても、時間もないし、あまり書き物が得意でないし……ということであれば、アトラクションよりもユーティリティを優先するという方法もあります。ユーティリティ改善とは、HPの使いやすさを改善するということです。たとえば、外来の診察時間はいつまで受け付けているか、誰が診療を担当しているかなど、ベーシックな情報であまりアップデートの必要がないものを優先してブラッシュアップするのが有効な手段です。

翌朝、出勤してきた一本槍がPCを開けると、赤座からのメールに気が付いた。HP開設に尽力してくれた人であり、大事な患者さんでもある。淹れたてのコーヒーを飲みながら開封すると、思いもよらぬ熱いメッセージが綴られていた。痛風発作時の的確な治療への感謝。尿酸値に無関心だったことへの後悔。そして、尿酸値と腎臓やメタボリックシンドロームとの関連についても教えてもらったおかげで、その後の高尿酸血症の治療に前向きに取り組めるようになったこと等々。

「先生のお話はいつもわかりやすいです。なかでも、高尿酸血症ではからだの中で何が起こっているか、尿酸の結晶を雪に見立てて説明いただいた内容は強く印象に残っています。これ以上雪が積もらないように、また既に積もった雪が溶けるよう、尿酸値は長期に下げ続けることが大事だということを、もっと多くの人に知ってもらいたいです!」…ついては、HPを通じてこのクリニックを広めていきたいので、HPの更新やSEO対策などについて相談する機会が欲しい、もし良ければ破格の値段で請け負う、とまで書いてあった。

SEO対策 相見積もりを取れ

SEO対策

SEO対策という言葉を耳にされたことがあるでしょうか。SEO対策とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで自分のHPをより上のほうに表示させる対策のことです。検索エンジンはキーワードをもとに表示順を選びますから、HPを設置した目的に応じて、どのキーワードでほかのHPより目立ちたいのかを考えます。たとえば、高尿酸血症や痛風というキーワードでSEO対策したいなら、その言葉をふくむコンテンツを充実させるという戦略が考えられます。まずは現時点でどんなキーワードが検索されているかをSEO対策ツールを使用して分析したり、HP制作会社に相談してみると良いでしょう。

相見積もりを取れ

知り合いから「破格の値段で」という申し出があっても、HPのメンテナンスに関しては相見積もりを取ることが原則です。相場観がない状態で支出するのは経営のリスクになります。

一本槍は目頭を押さえた。要は営業活動なのかもしれないが、それでも、自分の患者さんにこんな熱いメールをもらうというのは医師冥利に尽きる。冷静になるため、しばらく院長室をうろうろ歩き回ってみる。破格の申し出はありがたい。でも、実際、HPでは期待したほどの集患は実現できなかった。何かすれば効果が上がるのかもしれないが、何をしたらいいのか、どのくらい手間をかければいいのか見当がつかない――。

HPの意見交換会 人の振り見て…

HPの意見交換会

HPを開設してもあまり効果を感じられないということであれば、親しい患者さん10人ぐらいに声をかけて、HPについて自由に話してもらう場を設けてはどうでしょう。率直に患者さんの意見を聞くことで、きっとヒントが得られると思います。HPは開設して終わりではなくて、見ていただいた人と一緒に育てていくことが必要です。そのための情報集めは必須です。

人の振り見て…

成功しているクリニックのHPには学びが多くあります。ぜひ、同じ地域の中ではやっているクリニックのHPを見てみてください。この地域ではどういうことが受けるのかが見えてきます。だからといって同じものを作るのは芸がありませんが、そこから学ぶところはあると思います。往々にして「あの人気のレストランのHPを参考にしよう」という考えになりがちですが、そうではなく、同じ産業の中で見るのがポイントです。

1ヵ月後。いっぽんやり内科クリニックのHPで新コーナーが始まった。「いっぽんやり日記」と名付けられたそのコーナーは、1週間に1回、2週間に1回、1ヵ月に1回…と更新頻度をゆるやかに下げ、やがてぴたりと止まった。

今日は何の日?

HPの意見交換会

HPにかかわらず、マネジメント全般の話ですが、マネジメント初心者の方は「○○の日」を決めたほうがいいです。たとえば「HP更新の日」や「患者コミュニケーションの日」、「業務改善の日」など、マネジメントに関わることをあらかじめスケジューリングしておくのです。HPを作ったら、それをメンテナンスする日を無理にでも予定しておかないと、そのうちに忙しさにかまけて更新しなくなります。自分の苦手なことほど、強制的にそれをする時間を取っておいて、今日はやった/今日はやらなかった、という勝敗表を作る。それぐらいしないと、なかなか習慣にはなりません。これは非常にシンプルですが、パワフルな考え方です。

ウリアデック ワンポイント インフォメーション 患者満足度向上のための資材

痛風・高尿酸血症患者向け指導箋「ウリアデック®錠を飲み始める方へ」A5サイズ 10枚綴り

三和化学研究所では、高尿酸血症の疾患啓発と服薬指導にご活用いただける資材(指導箋)を準備しております。指導箋の表面は、高尿酸血症が痛風関節炎のみでなく心血管疾患のリスクとなる可能性が示唆されていることをお示ししております。また裏面は服薬指導として、高尿酸血症の治療は長期に血清尿酸値6.0mg/dL以下を維持することが大切なこと、しかしながら尿酸降下薬服用開始初期は急激な尿酸値低下により痛風発作が起こる可能性があるため、尿酸降下薬は徐々に量を増やす用法・用量となっていることを予めご説明いただく内容となっています。興味がございましたらぜひ、弊社MRまでお申し付けください。

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