セイブル 製品紹介

01 作用機序

消化管における糖質の吸収とセイブル(ミグリトール)の作用(イメージ図)

食物として摂取された炭水化物が体内に吸収され血中へ移行するには、最終的に二糖類水解酵素(α-グルコシダーゼ)により単糖類にまで消化されることが必要である。ミグリトールは小腸上部の粘膜上皮細胞の刷子縁に存在する二糖類水解酵素を競合的に阻害することにより、糖質の消化・吸収を遅延させ、食後血糖の上昇を抑制する。さらにミグリトールは小腸上部でα-グルコシダーゼ阻害作用を発揮しながら、本剤自体が吸収され小腸下部へ移行する薬物量が少なくなる。その結果、小腸下部におけるミグリトールのα-グルコシダーゼ阻害作用は減弱し、未消化の糖質が徐々に消化・吸収されていく。

02 臨床薬理試験

食後高血糖に及ぼす影響

セイブルは食後の急峻な血糖上昇を抑制した。

試験概要

対象
食事療法により十分な血糖コントロールが得られない2型糖尿病患者40例[食後1時間又は2時間血糖値200mg/dL以上、食後1時間又は2時間血清インスリン値20μU/mL以上、HbA1c(JDS値)6.5%以上9.0%未満]
投与方法
入院1日目の朝食直前にセイブル50mg又はプラセボを単盲検法により経口投与し、食事負荷試験を実施、入院2日目に薬剤を交差して同様に食事負荷試験を行った。

承認時評価資料

インスリン製剤との併用における食後の血糖上昇に対する作用

試験概要

対象
持効型溶解インスリン製剤による治療を受けている2型糖尿病患者15例(朝食後1時間又は2時間血糖値が180mg/dL以上)
方法
クロスオーバー法によるプラセボ対照単盲検2群間比較試験。入院1日目にセイブル50mg又はプラセボを1日3回毎食直前に経口投与し、食事負荷試験を実施。
入院2日目に薬剤を交差して同様に食事負荷試験を行った。
解析方法
薬剤間の差について1標本t検定を用いて比較検討を行った。

承認時評価資料

8.重要な基本的注意(抜粋)
8.1 本剤投与中は、血糖を定期的に検査するとともに、経過を十分に観察し、常に投与継続の必要性について注意を払うこと。本剤を2~3カ月投与しても食後血糖に対する効果が不十分な場合(静脈血漿で食後血糖2時間値が200mg/dL以下にコントロールできないなど)には、より適切と考えられる治療への変更を考慮すること。なお、食後血糖の十分なコントロール(静脈血漿で食後血糖2時間値が160mg/dL以下)が得られ、食事療法・運動療法又はこれらに加えて経口血糖降下剤若しくはインスリンを使用するのみで十分と判断される場合には、本剤の投与を中止して経過観察を行うこと。

03 安全性

副作用の発現状況(使用成績調査)

使用成績調査において、安全性解析対象症例3,273例のうち335例に391件の副作用が発現し、副作用発現率は10.2%だった。主な副作用は下痢114件(3.5%)、腹部膨満62件(1.9%)、放屁32件(1.0%)だった。
重篤な副作用は3例(0.1%)に認められ、低血糖症、ラクナ梗塞、肝機能異常(各1件)だった。重篤な副作用が認められた3例のうち2例はセイブル錠の投与を中止した。

安全性解析対象症例 3,273例
副作用発現例数 335例
副作用発現率 10.2%

調査概要

対象
本調査は委受託契約を締結した医療機関において、承認にかかわる効能又は効果および用法及び用量に従ってセイブル錠(本薬)を新たに使用する2型糖尿病患者とした。
調査期間
2006年8月~2010年3月(3年8カ月間)
安全性解析対象症例
3,273例
方法
電子データ収集システムを用い、中央登録方式による症例登録および調査データの収集を行った。
調査項目
患者背景、安全性、有効性、臨床検査
解析方法
有害事象の因果関係及び重篤性については、担当医師判定又は企業判定の重い方を採用した。
有害事象については、ICH国際医薬品用語集日本語版MedDRA/J Version 18.0に基づき器官別大分類(SOC)または基本語(PT)を用いて集計し、本薬との因果関係が否定できない有害事象を副作用とした。

松原 旭 他:薬理と治療 vol.46 no.5 p709-726,2018;本調査は(株)三和化学研究所により行われた。

「禁忌を含む使用上の注意」等は電子添文をご参照ください