第3回 ビグアナイド薬を含む多剤併用患者にセイブルを追加する場合 秋田大学大学院医学系研究科内分泌・代謝・老年内科学 准教授 成田 琢磨 先生

症例の紹介

55歳男性、BMIが25kg/m2超と過体重の患者さんです。ビグアナイド薬、SU薬併用で空腹時血糖は低下しましたが、食後血糖は十分抑制できていないという、日本人に多い症例です。今回はビグアナイド薬を含む多剤併用で食後高血糖を呈する患者さんの薬物選択の方針について考えてみましょう。

  • 55歳、男性、会社員
  • 身長:165.8 cm、体重:69.5 kg、BMI:25.3 kg/m2
  • 家族構成:妻と高校生の子供と3人暮らし
  • 現病歴:8年前に2型糖尿病と診断され、1,600kcalの食事療法開始。
    5年前からメトホルミンを開始し、1,000mg/日まで増量。
    2年前からグリメピリド1mg朝食後内服。
  • HbA1c:7.2 %
  • 空腹時血糖値:125mg/dL 食後2時間血糖値:254 mg/dL
  • 合併症:単純網膜症

TIPS1

減量指導では褒めることが大切

過体重の患者さんはどこかで食べ過ぎていることが多いので、まず患者さんとよく話して、問題点を明らかにすることが重要です。問題点は複数あることが多く、最初から高い目標をおくと挫折してしまうので、できることからひとつずつ改善に取り組んでもらいます。家庭環境は問題解決への影響が大きく、ご家族と一緒に受診していただき、協力をお願いします。
また、褒めることが大切です。体重が少しでも減ったときもそうですが、体重が変化しなかったときも褒めます。糖尿病治療は一生続ける必要があるため、患者さんに落ち込まず続けていただけるよう心がけます。
なお、急激に減量すると代謝が低下してその後痩せにくくなるおそれがあるため、月に0.5~1kg程度の減量を目安にします。

TIPS2

低血糖を回避しつつ食後高血糖を改善する

食後高血糖が動脈硬化性疾患の危険因子であることはさまざまな研究で報告されています。新規2型糖尿病患者さんを11年間フォローアップしたドイツの研究では、朝食後1時間の血糖高値は高血圧と同程度の心筋梗塞発症のリスクであることが示されました。したがって、今回の症例のように多剤併用でも食後高血糖がみられる過体重を伴う患者さんでは、血糖の平坦化が期待でき、かつ体重に影響を及ぼしにくい薬剤を選択することが重要です。

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