第1回 食事・運動療法で血糖コントロール不十分な過体重の2型糖尿病の初回治療 秋田大学大学院医学系研究科内分泌・代謝・老年内科学 准教授 成田 琢磨 先生

症例の紹介

65歳女性、BMIが25kg/m2超と過体重の患者さんです。食事療法・運動療法併用によりHbA1cは7.2%まで低下しましたが、食後2時間血糖値が依然高めです。今回は食事療法・運動療法で食後高血糖を呈する患者さんへの薬物選択の方針について考えてみましょう。

  • 65歳、女性、主婦
  • 身長:156 cm、体重:61 kg、BMI:25.1 kg/m2
  • 家族構成:夫、娘夫婦(孫1人)と同居
  • 現病歴:半年前に自治体の健康診断で血糖高値を指摘され、当院を受診。
    生活習慣の改善を指導し、食事療法・運動療法にて治療中。
  • 合併症:特になし
  • HbA1c:7.2 %
  • 食後2時間血糖値:210 mg/dL

TIPS1

動脈硬化抑制のため食後高血糖改善を図る

近年、2型糖尿病診療において食後高血糖のコントロールが重要な課題であるという認識が広がっています。その背景のひとつとして、食後のピーク血糖値と食前血糖値の差であるグルコーススパイクは、動脈硬化の進展と関連することがあります。2型糖尿病患者644例を対象に、動脈硬化の指標である頸動脈内膜中膜肥厚(IMT)と血糖値との関連を検討したCAPRI試験では、HbA1c高値のみならず、グルコーススパイクも、頸動脈IMTの肥厚と相関していることが示されました。

TIPS2

糖尿病治療の基本である食事療法と運動療法の指導を
しっかり行う

食事指導は、患者さんのこれまでの食習慣の問題点を改善することから始めます。3食規則正しくとること、脂肪を控えて、食物繊維を多く含む食品を中心にしたバランスの良い食事をゆっくりよく噛んで食べること、腹八分目にすることを心がけます。エネルギー摂取量は、性別や年齢、肥満度、身体活動量、血糖値、合併症の有無などを考慮して決定します。
運動療法を指導する前にはメディカルチェックを行い、疾患や健康状態を把握することが大切です。また、特にインスリン治療中は低血糖に注意が必要です。
重要なことは、糖尿病治療の基本である食事療法とあわせて、病態や体調に合わせた適度な運動を継続することです。

TIPS3

糖尿病治療薬の体重への影響にも注目する

糖尿病データマネジメント研究会の報告によると、日本人2型糖尿病患者さんの平均BMIの年次推移は上昇傾向にあり、2013年には25.00kg/m2に到達しました。
こうしたことなどから、心血管疾患の発症予防・進展阻止を目指した2型糖尿病診療においては体重コントロールが重要であり、糖尿病治療薬の体重への影響に注目が集まっています。

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