第9回 高尿酸血症治療のめざすこと(後編)
住友病院 院長 松澤佑次先生


平素よりお世話になっております。
先生は高尿酸血症治療をどのように考えていらっしゃいますでしょうか。住友病院院長の松澤佑次先生によりますと、高尿酸血症は、近年新たな薬が登場したこともあり、捉え方が変わってきているようです。これまでの痛風・高尿酸血症の変遷とこれからの治療などについてお話を伺いました。2回に分けてご紹介させて頂きます。
第2回 医師と患者さんの意識改革を

高尿酸血症の治療方針の変遷 ―新薬登場で進む臨床研究―

――「6・7・8のルール」ができて、無症候性高尿酸血症を治療すべきだという流れになったのでしょうか。

[松澤先生] 無症候性高尿酸血症という概念がそもそもおかしいと、われわれは言い続けています。無症候性高コレステロール血症や無症候性糖尿病というのはないですよね。尿酸値に対しての認識がまだ十分なされていないのは、痛風を起こさないと高尿酸血症は治療対象にならないという誤解が、長年続いていたからです。そこで、新しい尿酸降下薬の開発段階で、われわれは独立行政法人 医薬品医療機器総合機構などと交渉し、痛風の縛りを外した高尿酸血症を適応症とすることができました。
一方で、高尿酸血症をなぜ治療すべきなのかを明確に示すエビデンスについても、今後出さなければいけないと思います。高尿酸血症と動脈硬化性疾患の関係は昔からある程度理解されていたと思いますが、エビデンスは十分でなかった。高尿酸血症と腎機能との関係もそうです。高尿酸血症をベースとしているCKDはどれぐらいあって、尿酸値を下げることで透析を減らせるというエビデンスを出せば、高尿酸血症治療の意義がより明確になってくると思います。尿酸はコレステロールや血糖、血圧に比べて何十年もブランクがあったわけですが、高尿酸血症の適応のある薬が市販されたので、今後は臨床研究が進むことを期待しています。

高尿酸血症の患者さんへの伝え方

――臨床現場での高尿酸血症の実際はいかがでしょうか。

[松澤先生] 日本は人間ドックや検診が非常に充実しており、そこで高尿酸血症と言われた人が多数存在しますが、コレステロールや血糖のように認識して治療しているかは疑問です。ですから、かかりつけ医の先生方が高尿酸血症を治療すべき疾患であると十分に認識し、患者さんに伝えることが非常に重要です。そのためには治療の意義を臨床的なエビデンスできちんと証明していかないといけないと思います。その結果、臨床現場全体の認識が高まり、最終的には患者さんのためにもなるわけです。

――患者さんにはどう伝えたらよいでしょうか。

[松澤先生] 尿酸値が7mg/dLを超えた分は、体の各部位への沈着が少しずつ、サイレントに進行することを伝えることが大事です。痛風は患者さんにとっては、むしろ警告なのです。放ったらかしにしている尿酸値を、バーンと痛みで知らせてくれる。関節炎では死にませんが、最終的に心筋梗塞や腎不全を来すと命に関わるわけですから、早い時期に治療の認識をさせてくれるということです。ただ、本当は痛風が起こる前からきちんと患者さんに治療意義を伝え、治療開始することが極めて重要だと思います。

――尿酸の結晶が関節に溜まっているからこそ、尿酸降下薬は通常の維持量まで漸増して処方するということになっています。

[松澤先生] 尿酸値を急に下げたときに何らかの関節腔の物理化学的な変化が起こって結晶が剥がれたり、白血球の作用を惹起したりして痛風発作が起こる。だから徐々に下げていく必要があるという考え方に基づいているわけです。
私は尿酸降下薬の副作用に痛風発作があげられているのは矛盾があると考えています。私は患者さんに対して、薬物治療の初期には発作が起こることを織り込み済みでお話しします。発作が起こったとしても、治療初期の自然経過であり、長期に治療すれば間違いなくだんだん弱くなると教えています。高尿酸血症の治療は長期にやらないと意味がありません。治療を途中で止めてしまわないよう、予め治療の経過を患者さんに納得いただく必要があると思います。
三和化学研究所では、松澤佑次先生にご監修いただきました患者指導箋を準備しております。本指導箋は、表面は高尿酸血症の治療意義のご説明、裏面は服薬指導にご活用いただけるものです。
裏面は、高尿酸血症の治療は長期に血清尿酸値6.0mg/dL以下を維持することが大切なこと、しかしながら、治療初期は痛風発作が起こる可能性があるため、尿酸降下薬は徐々に量を増やすことを予めご説明いただく内容となっています。

ご連絡いただければ、10枚綴りの冊子をお持ちいたします。

ウリアデック添付文書
松澤先生ご監修の患者指導箋(裏面)
松澤先生ご監修の患者指導箋(表面)

三和化学研究所