第7回 セイブルの開発の狙いと、その効果

日頃より、先生方には弊社のセイブルをご活用いただき、ありがとうございます。
セイブルは小腸上部にて吸収される、唯一の吸収型α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)です。服薬したセイブルは小腸内腔で下部に行くに従い薬物濃度が徐々に低下するため、食後早期に通過する小腸上部では、強く糖質の消化吸収を抑制する一方、小腸下部では糖質の消化吸収が進み、穏やかに糖吸収が行われます。
本日はセイブルの開発経緯を紐解きながら、このユニークな特性ゆえのベネフィットをご紹介いたします。

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■時代に先駆けた『血糖値の平坦化』の発想
セイブルの主成分であるミグリトールは、1970年代にドイツで発見されました。
研究の結果、ミグリトールは、食後30分から1時間においては類薬より強く、血糖の上昇を抑制することが分かりました。一方で、小腸で一部が吸収されるため、当時重視されていた食後2時間においては、類薬に比べて強い血糖上昇を抑制する効果は示さないことも判明しました。しかし弊社ではこの薬物動態に魅力を感じました。グルコーススパイクを抑えながら、食後4時間以降の血糖値を上げることが示されたため、血糖平坦化の実現に強い期待を寄せたのです。
こうして開発されたセイブルは、2005年に製造販売承認を受け、『PPG1hr』(postprandial glycemia 1hr、食事開始から1時間後の血糖)をキャッチコピーに発売されました。食後早期からの血糖値の上昇と動脈硬化の相関を示唆するCAPRI試験1)の発表より3年も前のことです。今日では、食後血糖管理の意義は広く知られ、国際糖尿病連合(IDF)のガイドライン2)でも、その重要性が明記されています。

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■インスリン分泌の節減をめざして
セイブルによる食後早期の血糖上昇抑制による血糖平坦化は、インスリン分泌の節減に寄与し、β細胞の負荷の軽減にもつながると期待されています。実際に、セイブルとインスリンアナログ混合製剤との併用は、食後血糖値を低下させながら、血中C-ペプチドの濃度も低下することが報告されています3)
セイブルは、小腸上部の糖質の消化吸収を抑制する一方で、小腸下部では糖質の消化吸収が進みゆるやかな糖吸収が行われることから、インスリン投与による夜間の血糖の変動を抑制することも報告されています4)。また、糖が大腸に到達することにより、消化管症状が発生することがあります。セイブルのこの作用は、大腸に流入する糖を軽減することにもつながります。

■インクレチン分泌を誘導し、体重へも影響
消化管ホルモンであるインクレチンのGIPとGLP-1は、糖刺激により小腸から分泌され、血糖コントロールに重要な役割を果たします。しかし、主に小腸上部で分泌されるGIPは脂肪の蓄積を誘導し、体重を増加させること、小腸下部で分泌されるGLP-1は食欲を抑え、体重を減少させることが知られています。
セイブルは小腸上部で作用するため、糖質の消化吸収を抑制して糖刺激によるGIP分泌を減少させる一方、小腸下部では糖質の消化吸収に応じてGLP-1分泌を増加させます。MASTER試験で成田らはセイブル投与群にて体重が減少することを報告しています5)。こうした薬理作用を持つセイブルは、GLP-1のはたらきを強めるDPP-4阻害薬のよきパートナーとしてもご評価いただいています。

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また、動物を用いた研究では、セイブルが基礎代謝の指標である酸素消費量を増加させることが報告され、セイブルの体重におよぼす影響に対する機序のひとつではないかと考えられています6)

弊社は、「血糖値の平坦化」という新しい考え方の下、セイブルを世に送り出しました。食後早期の血糖管理を重視する考え方の広がりとともに歩んできたセイブルは、今なお、新しい研究が続けられています。
これからも三和化学研究所は、糖尿病治療の進歩に貢献したいと考えています。
セイブル®錠添付文書
セイブル®OD錠添付文書

三和化学研究所

References

  • 1) Esposite K et al. J Clin Endocrinol Metab. 2008;93(4):1345-1350.
  • 2) 糖尿病における食後血糖値の管理のためのガイドライン2011
  • 3) Kimura T et al. Diabetes Technol Ther. 2012;14(7):545-551.
  • 4) Matuura K et al. Diabetes Technol Ther. 2012;14(5):423-429.
  • 5) Mikada A et al. DRCP. 2014;106:538-547.
  • 6) Sasaki T, et al. Endocr J. 2013;l60(10):1117-1129.