尿酸こぼれ話

尿酸や尿酸産生酵素XOに関連したトリビアを紹介します。お気軽にご覧ください。

(XO:キサンチンオキシダーゼ)

監修:室原 豊明 先生

名古屋大学大学院医学系研究科 循環器内科学 教授

2017年 第6回 高尿酸血症の歴史

高尿酸血症の歴史

痛風は、エジプトで発掘されたミイラの関節に尿酸塩が見つかったという報告もあるとおり、大変歴史の長い疾患です。紀元前には、医学の父と呼ばれた古代ギリシアの医師ヒポクラテスが痛風治療薬としてイヌサフランからとれるコルヒチンを記していたという報告もあります1)

西洋史上の人物でもアレクサンダー大王、ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ビンチ、ゲーテ、ニュートン、ダーウィンなど多くの為政者、芸術家、科学者が痛風に苦しめられてきました。

一方、日本では、安土桃山時代にポルトガル人宣教師のルイス・フロイスが「日本人には痛風がいない」と記録しているように、もともと痛風患者はおらず、痛風が増えたのは戦後、とくに1960年代に入ってからと言われています。

その要因として最も大きいと考えられているのが「食生活の欧米化」。 食生活の欧米化によってプリン体の摂取量が増え、またカロリーの過剰摂取による肥満が痛風を引き起こすのです。痛風は時に「贅沢病」とも言われることがありますが、今や誰もがなりうる疾患と言えるでしょう。

参考文献

  • 1)日本痛風・核酸代謝学会ガイドライン改訂委員会. 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第2版). メディカルレビュー社; 2010. p.74.