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尿酸や尿酸産生酵素XOに関連したトリビアを紹介します。お気軽にご覧ください。 (XO:キサンチンオキシダーゼ) 監修:室原 豊明 先生 名古屋大学大学院医学系研究科 循環器内科学 教授 2017年 第4回 人類の進化と尿酸高尿酸血症は哺乳類のほとんどの種類では発症せず、霊長類にしか起こらないことをご存じでしょうか。 その理由として、哺乳類の多くには尿酸を分解する尿酸酸化酵素が存在しているのに対し、霊長類では尿酸酸化酵素の遺伝子が突然変異により失われていることが挙げられます1)。 この突然変異は進化の過程から見て「有利」な突然変異であったと考えられています。 なぜ「有利」と考えられているのでしょうか。 最も一般的な考え方は尿酸の抗酸化作用による説明です。 かつて夜行性の哺乳類から進化した霊長類は、昼間、樹上生活することにより強い紫外線に曝されることになりました。しかし、進化の過程で抗酸化作用を有するアスコルビン酸合成酵素を失っていたため、抗酸化作用を有する尿酸は霊長類には欠かせない物質であったのです2)。 しかし、現代では過剰な尿酸が引き起こす痛風をはじめとした、高血圧や糖尿病、心血管病などの疾患が問題視されるようになってきました。 進化の過程で獲得した突然変異が、今や、問題を引き起こす一因となっています。これは、近年の人類を取り巻く環境の変化がいかに急激なものであるかを物語っているのかもしれません。 参考文献
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