クリアビュー Influenza A/B 製品詳細情報

測定原理

1.測定原理
本キットは、イムノクロマトグラフ法を測定原理とする、鼻腔ぬぐい液、咽頭ぬぐい液、鼻腔吸引液又は鼻汁鼻かみ液中のA型及びB型インフルエンザウイルス抗原を別々に検出する試薬である。
テストスティックは、マウスモノクローナル抗A型インフルエンザウイルス抗体及びマウスモノクローナル抗B型インフルエンザウイルス抗体を反応プレート上に各々固相化した分離領域と、マウスモノク
ローナル抗A型インフルエンザウイルス抗体結合金コロイド粒子及びマウスモノクローナル抗B型インフルエンザウイルス抗体結合金コロイド粒子を含む試薬パッドからなるディップスティック型デバイスで構成される。本キットによるインフルエンザの検査は、テストスティックを試料液中に浸すことにより開始される。
試料液は、試薬パッド中の2種類の抗体(マウスモノクローナル抗A型インフルエンザウイルス抗体及びマウスモノクローナル抗B型インフルエンザウイルス抗体)結合金コロイド粒子(移動層)を可動化する。
検体中に存在するA型又はB型インフルエンザウイルス抗原は、それぞれに対応する抗体結合金コロイド粒子と反応し、複合体を形成する(インフルエンザウイルス抗原-抗体結合金コロイド粒子複合体)。この複合体は反応プレート上を毛細管現象により移動し、分離領域に固相化されたマウスモノクローナル抗A型インフルエンザウイルス抗体(不溶化層 I )又はマウスモノクローナル抗B型インフルエンザウイルス抗体(不溶化層 Ⅱ)に捕捉され、分離領域に赤紫色のライン(A型インフルエンザライン又はB型インフルエンザライン)を形成し、検体中のA型及びB型インフルエンザウイルス抗原を別々に検出する。
一方、抗原と反応しなかった2種類のマウスモノクローナル抗インフルエンザウイルス抗体結合金コロイド粒子は、反応プレート上を更に移動し、分離領域に固相化されたヤギポリクローナル抗マウスIgG抗体と結合し、分離領域に赤紫色のライン(コントロールライン)を形成する。このコントロールラインにより、検査が誤りなく終了したことを確認できる。

使用上の注意

1.取扱い上(危険防止)の注意
1)検体を取り扱うときは感染の危険性を考慮して使い捨て手袋を着用するなどじゅうぶん注意すること。
2)抽出液は保存剤としてアジ化ナトリウムを含むので、目、粘膜などにつかないように注意し、万一付着した場合には、水でじゅうぶん洗い流し、必要があれば医師の手当てを受けること。
3)検体の採取および取り扱い時に、検体が飛散したりこぼれたりした場合には、すぐに消毒用アルコール又は次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度5,000ppm)等を用い処理すること。
2.使用上の注意
1)本キットは、インフルエンザウイルス抗原の検出試薬であり、定量目的には使用しないこと。
2)本キットを分解して使用しないこと。
3) 本キットは直射日光や熱にあてないこと。
4)本キットは2~30℃で保存し、外箱に表示の使用期限内に使用すること。
5)アルミホイル袋は使用直前まで開封しないこと。
6)テストスティックの判定領域を直接手で触らないこと。
7)操作手順は、操作方法に従って行うこと。
8) 異なる製造番号のキット中の試薬は、組み合わせたり、混ぜ合わせて使用しないこと。
9)テストスティックを鼻汁やその他の液体で濡らさないこと。
10)開封後、長時間放置したテストスティックは、使用しないこと。
11)抽出液の滴下量を正確にするため、抽出液ボトルを垂直にし滴下させること。
12) テストスティックを再使用しないこと。
13)滅菌綿棒は、抽出操作後試験管から速やかに抜き取ること。滅菌綿棒Rは、長時間放置すると軸部が抽出液を吸水する。
14)使用前の滅菌綿棒の綿球部分には直接手で触れないこと。
15)滅菌綿棒に折損、曲がり、汚れがあった場合は使用しないこと。
16)付属のスティックホルダーは患者に検査結果を説明する際のホルダーとして使用すること。測定結果の判定には使用しないこと。また患者ごとの使用とし、再使用しないこと。
3.廃棄上の注意
1)抽出液には保存剤としてアジ化ナトリウムが含まれているので廃棄の際は、大量の水とともに流すこと。
2)使用済みの滅菌綿棒、テストスティック、試験管、検体に接触した器具などは感染が危険があるものとして、オートクレーブ (121℃、20分以上)などで滅菌するか、又は次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度5,000ppm)に1時間以上浸すなどの処 理をすること。
3)使用後の本キットを廃棄する場合には、廃棄物に関する規定に従って医療廃棄物又は産業廃棄物など区別して処理すること。

操作方法

1.試薬の調整方法
1)テストスティック
そのまま用いる。
2)抽出試薬入り試験管
そのまま用いる。
3)抽出液
そのまま用いる。
2.必要な器具・器材・試料等
タイマー又は時計 使い捨て手袋
3.測定(操作)法
本キットを冷蔵保存していた場合は、開封前に室内温度に戻すこと。
1) アルミホイル袋を開封し、テストスティックと抽出試薬入り試験管を取り出す。
2)付属の試験管立て等に試験管を立て、抽出液(R1)のボトルを下向きに垂直に持ち、ボトルを押して、抽出液を試験管の口に触れないように6滴(約195μL)滴下する。
3)試験管の内容液に検体採取後の綿棒試料の綿球部分を浸し、試験管壁に押し付けながら約10秒間回転させる。試験管の外側から綿球を指で挟みこみながら引き上げ、検体を搾り出す。なお、抽出後の試料液は保存できないので、できるだけ早く次の操作に移ること。
4)テストスティックを矢印が下になるように試験管に挿入し、反応を開始させる。
5)8分後にテストスティックの判定領域を観察し、赤紫色のラインの有無により判定する。ただし、それ以前に赤紫色のコントロールライン及びインフルエンザラインが認められる場合は、陽性と判定できる。なお、20分以降に結果を読み取らないこと。

操作上の注意

1.測定試料の性質、採取法
1)検体採取の準備
①鼻腔ぬぐい液検体の採取は、付属または別売の滅菌綿棒を使用すること。
②咽頭ぬぐい液検体の採取は、別売の滅菌綿棒Rを使用すること。
③鼻腔吸引液を採取するときは、トラップ付き吸引カテーテル、吸引装置及び付属または別売の滅菌綿棒を準備すること。
④ 鼻汁鼻かみ液を採取するときは、別売の非浸潤性の鼻かみ液採取用紙及び付属または別売の滅菌綿棒を準備すること。
2)検体採取方法
①鼻腔ぬぐい液
滅菌綿棒を外鼻孔から鼻腔内にしっかりと挿入し、鼻甲介を数回擦るようにして粘膜表皮を採取する。このとき、粘性の高い鼻汁が綿棒に多量につくことは避けること。


②咽頭ぬぐい液
滅菌綿棒を口腔から咽頭にしっかりと挿入し、咽頭後壁・口蓋扁桃の発赤部位を中心に数回擦るようにして粘膜表皮を採取する。なお、採取時、綿棒に唾液がつかないように注意すること。


③鼻腔吸引液
吸引装置に接続した吸引トラップに吸引用カテーテルを接続し、外鼻孔から鼻腔内にカテーテルをしっかりと挿入し、吸引装置を作動し鼻腔液を採取する。採取した検体に滅菌綿棒を浸す。このとき、粘性が高い部分や固形物を避けること。


④鼻汁鼻かみ液
鼻にあてがった鼻かみ液採取用紙の上から、片方ずつ鼻の穴を押さえて、ゆっくり少しずつかんでもら
う。採取した鼻かみ液に滅菌綿棒を浸し、綿球全体に検体を付着させるようにする。このとき、粘性が高い部分や固形物を避けること。


3)検体の保存方法
採取した検体は、できるだけ早く測定(操作)法に従い検査すること。検体を採取した綿棒は、清浄な密閉した容器内に室温で24時間保存可能である。
4)検体の調製方法
綿棒に採取した検体はそのまま使用すること。
5)検体採取上の注意
①検体には鼻腔ぬぐい液、咽頭ぬぐい液、鼻腔吸引液又は鼻汁鼻かみ液を使用すること。
②折り曲げたり湾曲させた綿棒は、検体採取中に折れる可能性があるため取扱いにじゅうぶん注意すること。
③滅菌綿棒は、付属あるいは別売の綿棒を使用すること。
④吸引トラップ、吸引用カテーテルおよび鼻かみ液採取用紙は検査毎に未使用のものを使用すること。
⑤鼻汁鼻かみ液を検体として使用する場合、滅菌綿棒の綿球全体に付着するくらいじゅうぶんな検体量がない場合は、鼻腔吸引液、鼻腔ぬぐい液に比べて検出率が低い場合があるので、検体の採取法に留意すること。
⑥自分で鼻をかめない乳幼児や鼻腔内が乾燥している患者には、鼻汁鼻かみ液以外の検体採取法を用いること。
⑦鼻汁鼻かみ液の採取および取り扱いにおいて、採取用紙を広げることにより、飛沫が拡散する場合があるので、二次感染の危険性にじゅうぶん注意すること。
2.妨害物質・妨害薬剤
下記の物質を試料液中に添加した場合、示した濃度又は添加量まで測定結果に影響しなかった。
血液1%、うがい薬(A社、ポピドンヨード含有)4%、トローチ(A社)25mg/テスト、鼻スプレー(B社)10%、アセトアミノフェン250μg/テスト、アスピリン30μg/テスト、イブプロフェン200μg/テスト
3.交差反応
本キットは、下記に示した分離ウイルス株(103~108TCID50注1)/mL、ただしHuman coronavirus OC43 とCoxsackievirus A9 のみ104 ~ 106LD50注2)/mL)及び細菌株(1×108 個/mL)と交差反応
性を示さなかった。
1)ウイルス株
Human adenovirus C, Human adenovirus B,
Adenovirus type 10, Adenovirus type 18,
Human coronavirus OC43, Coxsackievirus A9,
Coxsackievirus B5, Human herpesvirus 5,
Echovirus 2, Echovirus 3, Echovirus 6,
Herpes simplex virus 1, Human herpesvirus 2,
Human Rhinovirus 2, Human Rhinovirus 14,
Human Rhinovirus 16, Measles, Mumps,
Sendai virus, Parainfluenza virus 2,
Parainfuluenza virus 3, Respiratory syncytial virus,
Human respiratory syncytial virus (Long),
Rubella, Varicella-Zoster
注1)TCID50(Tissue Culture Infectious Dose):培養細胞50%感染価
注2)LD50(Lethal Dose):50%致死量

2)細菌株
Arcanobacterium haemolyticum, Candida albicans,
Corynebacterium diphtheriae, Enterococcus faecalis,
Enterococcus faecium, Escherichia coli,
Haemophilus parahaemolyticus, Moraxella catarrhalis,
Neisseria gonorrhoeae, Neisseria lactamica,
Neisseria meningitidis serogroup A,
Neisseria sicca, Neisseria subflava,
Pseudomonas aeruginosa, Proteus vulgaris,
Staphylococcus aureus subsp. aureus,
Staphylococcus epidermidis, Staphylococcus saprophyticus,
Streptococcus agalactiae, Streptococcus bovis,
Streptococcus dysgalatiae, subsp. dysgalactiae,
Streptococcus oralis formerly Streptococcus mitis,
Streptococcus pneumoniae, Streptococcus salivarius,
Streptococcus pyogenes, Streptococcus sp. group F, type 2

性能

1.性能
1)感度試験
A型インフルエンザウイルス抗原自家管理検体(弱陽性)及びB型インフルエンザウイルス抗原自家管理検体(弱陽性)を所定の操作で試験するとき、それぞれ陽性反応を示す。
2)正確性試験
A型インフルエンザウイルス抗原自家管理検体(弱陽性、陽性)及びB型インフルエンザウイルス抗原自家管理検体(弱陽性、陽性)を所定の操作で試験するとき、それぞれA型インフルエンザウイルス抗原陽性/B型インフルエンザウイルス抗原陰性反応及びB型インフルエンザウイルス抗原陽性/A型インフルエンザウイルス抗原陰性反応を示す。
3)同時再現性試験
A型インフルエンザウイルス抗原自家管理検体(弱陽性、陽性)及びB型インフルエンザウイルス抗原自家管理検体(弱陽性、陽性)を所定の操作で5回繰り返し試験するとき、それぞれ同一の反応性を示す。
4)最小検出感度(例示)
A型インフルエンザウイルスA2/Aichi/2/68(H3N2)株 1.25×103CEID50注3)/テストB型インフルエンザウイルスHong Kong 5/72株 0.5×102CEID50/テスト注3)CEID50(Chicken Embryo Infectious Dose):ニワトリ胚50%感染価
5)インフルエンザウイルス株に対する反応性
(図を参照)

2.較正用の基準物質に関する情報
自家標準品(A型インフルエンザウイルス A2/Aichi/2/68株、B型インフルエンザウイルス Hong Kong 5/72株)により検定

特長

1)A型及びB型インフルエンザウイルス抗原をテストスティック1本で検出可能である。
2)試験管中で抽出操作後、テストスティックを直接浸すだけで反応が始まり、短時間で結果を確認できる。
3)特別な装置や面倒な試薬の調製は必要ない。
4)モノクローナル抗体を用いることで特異的かつ高感度にインフルエンザウイルス抗原の検出が可能である。

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