第10回 ビグアナイド薬にセイブルを追加する場合 那珂記念クリニック 院長 遅野井 健 先生

症例の紹介

67歳女性、BMIが25.2kg/m2と過体重の患者さんです。メトホルミンによりHbA1c、空腹時血糖値はある程度低下していますが、食後高血糖の改善が不十分です。今回はビグアナイド薬服用中で食後高血糖を呈する患者さんの薬物選択の方針について考えてみましょう。

  • 67歳、女性、主婦
  • 身長:153 cm、体重:59 kg、BMI:25.2 kg/m2
  • 家族構成:夫と2人暮らし
  • 現病歴:6年前に2型糖尿病と診断され、他院にてメトホルミン1,000mg/日にて治療中。
  • HbA1c:7.2 %
  • 空腹時血糖値:124mg/dL
  • 食後2時間血糖値:228mg/dL
  • 糖尿病合併症:特になし

TIPS1

グルコーススパイクは血管障害を進展させる

食後のピーク血糖値と食前血糖値の差であるグルコーススパイクは、血管内皮細胞を傷害し、血管障害を進展させることがわかっています。基礎研究において、正常血糖値、高血糖の持続、正常血糖値と高血糖を1日おきに交互に入れ替える、という3通りの方法で血管内皮細胞を培養し、死滅した細胞の割合を調べたところ、高血糖に持続的に曝された場合よりも、正常血糖値と高血糖を交互に入れ替えたときのほうが高くなることが示されました。

TIPS2

α-GIは血糖変動の平坦化が期待できる

α-GIは、消化管での糖類の吸収を遅延させることにより、グルコーススパイクを小さくする、すなわち食後の血糖上昇抑制とともに、食前の血糖の過度な低下を抑制することで血糖の波の平坦化が期待できます。
実際、α-GIであるセイブル投与により、糖類の吸収遅延が認められています。セイブル50mgを単回経口投与したところ、食後30分から2時間後では血糖上昇をプラセボ群と比べ有意に抑制しました。一方、次の食事の前の時間と考えられる、食後4時間後5時間後にはプラセボ群と比較してセイブル群の血糖は高値を示しました。

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