第8回 食後高血糖が認められる2型糖尿病患者の初回治療 那珂記念クリニック 院長 遅野井 健 先生

症例の紹介

43歳男性の患者さんです。HbA1c7.5%、空腹時血糖値は122mg/dLとそれほど高くありませんが、食後2時間血糖値が200mg/dLを超えています。今回は食後高血糖が認められる患者さんの薬物選択の方針について考えてみましょう。

  • 43歳、男性、会社員
  • 身長:170 cm、体重:68 kg、BMI:23.5 kg/m2
  • 家族構成:妻、大学生の娘と3人暮らし
  • 現病歴:会社の健康診断にて血糖高値を指摘され、精査目的にて来院。
  • HbA1c:7.5 %
  • 空腹時血糖値:122mg/dL
  • 食後2時間血糖値:210mg/dL
  • 糖尿病合併症:なし

TIPS1

2型糖尿病にとって好ましくない食行動を是正する

2型糖尿病治療の基本である食事・運動療法は、患者さんが十分に理解でき、取り組みやすいことが重要です。たとえば食事療法では、食事の内容を細かく指導するのではなく、まず3食以外をターゲットに、間食をやめる、ジュースやスポーツ飲料を水やお茶に替える、コーヒーに砂糖を入れない、果物を食べすぎない、そういった2型糖尿病にとって好ましくない食行動を是正するところから始めていただきます。果汁100%ジュースや野菜ジュース、微糖缶コーヒー、果物などは飲んだり食べたりしてもいいと考えておられる患者さんが意外に多いことに、注意が必要です。

TIPS2

「間違った成功体験」をさせない薬剤を選択する

生活改善の努力をしたら血糖値が改善する、努力しなければ血糖値は改善しないという基本を患者さんに体感していただくことが将来の2型糖尿病治療の成否に影響すると考えています。生活改善が十分できていない状態で、血糖を強力に低下させる薬剤を処方すると、患者さんは、生活習慣を改善しなくても血糖が改善するという「間違った成功体験」により、将来的に体重増加や低血糖、薬剤依存となる可能性があります。一方で、たとえば缶コーヒーを微糖から無糖に替えて血糖コントロールが少しでも改善したことを経験した患者さんは、その後の治療モチベーションも高くなります。したがって、初回の患者さんでは特に、「間違った成功体験」を避けるための薬剤選択が重要です。

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