第7回 インスリン強化療法で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者 あずま糖尿病内科クリニック 院長 東 大介 先生

症例の紹介

55歳男性、BMIが39.1kg/m2と過体重の患者さんです。インスリン強化療法中で合併症も進行しています。今回はインスリン強化療法にて血糖コントロールが不十分な患者さんの薬物選択の方針について考えてみましょう。

  • 55歳、男性
  • 身長:163.2 cm、体重:104.1 kg、BMI:39.1 kg/m2
  • 家族構成:1人暮らし
  • 現病歴:23年前に糖尿病を指摘されたが放置。20年前より経口血糖降下薬にて治療を開始し17年前にインスリン治療を開始した。その後、血糖管理不十分のため教育入院を数回行っている。インスリングラルギン18IU、インスリングルリジン(8,4,6)のインスリン強化療法で血糖コントロール不十分のため、当院に紹介された。
  • HbA1c:11.1 %
  • 空腹時血糖値:179mg/dL
  • 血清CPR:6.5ng/mL
  • 尿中CPR:118μg/日
  • CPRインデックス:3.44
  • 糖尿病合併症:腎症;4期(eGFR 27mL/min、U-Pro 6.0g/day)、網膜症;レーザー治療後、神経症;あり

TIPS1

患者さんの自己血糖測定値の意味を理解する

インスリン療法中の患者さんは自己血糖測定の値を記録してくださっていますが、それぞれの血糖値の意味を患者さんに理解していただくことで、患者さんの行動変容につながります。そのためには、医師が患者さんの血糖プロファイルをイメージすることが重要です。そのうえで、正常な血糖動態にできるだけ近づけるために治療戦略を立てます。また、食事療法が順守できていないと思われている患者さんが、実はインスリンが多すぎて低血糖を起こしており、低血糖症状を回避するために間食していたケースがありました。このような可能性を頭に入れて治療にあたるべきと考えています。

TIPS2

インスリン強化療法が最終手段ではない可能性がある

インスリン療法中の患者さんでも、β細胞への負担を軽減させる治療戦略によりインスリンを減量し、強化療法から基礎インスリンと経口血糖降下薬の併用(BOT)へ切り替えることができる可能性があります。インスリンの減量は入院により行うことが一般的ですが、外来でも電話やクラウドシステムを利用してSMBGにて測定した血糖値をこまめに確認することで減量することが可能です。SMBGについては、毎日6回測定することは患者さんの負担も大きいので、ふだんは朝の血糖のみの測定とし、受診前の2日間のみ6回測定してもらい、同時に1,5-AG値を確認することで、患者さんの血糖プロファイルをより正確に把握することができます。

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