ケースで学ぶ わたしならこうする 「食後高血糖治療のTips」

第4回 セイブルにDPP-4阻害薬を追加する場合 秋田大学大学院医学系研究科内分泌・代謝・老年内科学 准教授 成田 琢磨 先生

症例の紹介

58歳男性、α-GIにより食事後の血糖の急上昇は抑制されていますが、空腹時血糖値は不十分な状況です。今回はα-GI服用中の患者さんで、全体的に血糖値をもう一歩下げたい場合の薬物選択の方針について考えてみましょう。

  • 58歳、男性、会社員
  • 身長:172.8 cm、体重:66.0 kg、BMI:22.1 kg/m2
  • 家族構成:妻と2人暮らし
  • 現病歴:4年前に2型糖尿病と診断され、1,840kcalの食事療法開始。
    2年前からα-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)を1日3錠、各食直前内服。
  • HbA1c:7.4 %
  • 空腹時血糖値:144mg/dL 食後2時間血糖値:186 mg/dL
  • 合併症:特になし

TIPS1

α-GIは食後高血糖を抑制する

セイブルをはじめとしたα-GIは、食後高血糖を是正する治療薬として広く用いられています。食後高血糖は、心血管疾患発症・進展や動脈硬化性疾患と関連することが数多く報告されており、空腹時血糖値およびHbA1c値とともに、その是正が重要であることが『科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013』にも明記されています。
食後高血糖の改善に対しては、α-GIやDPP-4阻害薬のほか、ビグアナイド薬も一定の有効性が期待できます。また、患者さんの血糖特性によってはグリニド薬も選択肢のひとつとなり得ると考えます。

TIPS2

セイブルはGIP分泌抑制とGLP-1分泌への影響が
認められている

α-GIは糖質の吸収部位を、GIPが分泌される小腸上部から、GLP-1が分泌される小腸下部へと移動させます。
なかでも薬剤そのものが吸収されるセイブルは、われわれの日本人2型糖尿病患者さんを対象とした検討において、GIP分泌抑制とGLP-1分泌亢進が認められています*。GIPには脂肪蓄積作用が認められており、本検討では、セイブル投与群において体重は64.5kgから63.6kgに、BMIは25.1kg/m2から24.7kg/m2に有意(各々p<0.01,p<0.05,Willcoxon符号付順位和検定)に低下しました。

*:Narita T. et al., Diabetes Obes Metab. 14(3): 283-287, 2012

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