メトアナ配合錠LD・HD

スイニー錠100mg

これだけは知っておきたい!メトアナ配合錠 [第1回]メトアナ配合錠の基本特性

糖尿病患者さんでは、加齢や病態の進行により腎機能が低下していきます。また、糖尿病治療薬を選択する際、腎排泄型の薬剤は腎機能に応じた投与量の調節や中止が必要となります。そのため、糖尿病患者さんの薬物治療では、腎機能と薬剤の特性を考慮した薬剤選択が重要であると考えられます。
メトアナ配合錠は、メトホルミン塩酸塩とDPP-4阻害薬スイニー錠(アナグリプチン)の配合剤であり、正常から中等度腎機能障害患者さんまでご処方いただける薬剤です。
「これだけは知っておきたい!メトアナ配合錠」では、メトアナ配合錠を適切にご使用いただくために有用な情報をお届けしていきます。
今回は、メトアナ配合錠の基本特性についてご紹介いたします。

糖尿病患者における腎機能低下患者の割合

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2014年に行われた「奈良県糖尿病診療実態調査」において、糖尿病患者さんの腎障害の実態が報告されています。
本調査では、eGFR30mL/min/1.73m2未満の重度以上の腎機能障害患者はわずか7%にすぎず、約90%は正常から中等度腎機能障害の患者であることが報告されています。

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メトホルミン塩酸塩は腎排泄型の薬剤ですが、昨年の添付文書改訂により、重度の腎機能障害患者のみが禁忌となりました。中等度腎機能障害患者ではeGFRに応じた用量調節が必要となりますが、腎機能障害患者におけるメトホルミンの処方の幅が広がったと考えられます。

このように腎機能に応じた用量調節が必要な薬剤にはDPP-4阻害薬(一部のDPP-4阻害薬を除く)も含まれます。

メトアナ配合錠に含まれるスイニー錠の代謝・排泄

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メトアナ配合錠に含まれるDPP-4阻害薬スイニー(アナグリプチン)は、全身で約50%が代謝され、尿中と糞中の2つの経路で排泄されます。尿中排泄率は約73%、糞中排泄率は約25%であることがわかっています。

そのため、スイニーは、重度腎機能障害または透析中の末期腎不全を除く患者さんにおいて、通常用量での処方が可能となっています。

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このスイニーを含むメトアナ配合錠も中等度腎機能障害患者さんまで投与可能な配合錠となっています。

メトアナ配合錠の用法及び用量

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メトホルミン塩酸塩とアナグリプチン(スイニー)の配合剤であるメトアナ配合錠には、アナグリプチン100mgに加え、メトホルミン塩酸塩250mgを含有するメトアナ配合錠LDとメトホルミン塩酸塩500mgを含有するメトアナ配合錠HDの2規格があります。

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1回1錠、1日2回朝・夕の服用で優れた血糖コントロールが期待できます。

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メトアナ配合錠の用法及び用量はこちらに示す通りです。
重度の腎機能障害(eGFR30mL/min/1.73m2未満)患者さんを除き、メトアナ配合錠LDはeGFR30 mL/min/1.73m2以上の患者さんまで、メトアナ配合錠HDはeGFR45mL/min/1.73m2以上の中等度腎機能障害患者さんにご処方いただくことが可能です。

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なお、メトアナ配合錠の腎機能障害患者に関する注意は「特定の背景を有する患者に関する注意」にこのように記載されています。

国内第Ⅲ相試験

国内第Ⅲ相試験では、メトホルミン塩酸塩250mg又は500mg1日2回投与で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者に対し、プラセボを比較対照としてアナグリプチン100mgを1日2回、24週間経口投与したときの有効性が検証され、安全性についても検討されました。
有効性の主要評価項目である24週最終評価時のHbA1c変化量は、[メトホルミン250mg+プラセボ]群で0.20±0.74%、メトアナ配合錠LDに相当する[メトホルミン250mg+アナグリプチン]群で-0.43±0.63%、[メトホルミン500mg+プラセボ]群で0.30±0.54%、メトアナ配合錠HDに相当する[メトホルミン500mg+アナグリプチン]群で-0.53±0.67%であり、メトアナ配合錠LD・HDでの優越性が検証されました。
本試験における副作用は、[メトホルミン250mg+プラセボ]群は44例中1例(2.3%)、[メトホルミン250mg+アナグリプチン]群は41例中3例(7.3%)に認められました。主な副作用は[メトホルミン250mg+プラセボ]群の悪心、側腹部痛が各1例(2.3%)、[メトホルミン250mg+アナグリプチン]群のアラニンアミノトランスフェラーゼ増加、アミラーゼ増加など各1例(2.4%)でした。[メトホルミン500mg+プラセボ]群は41例中1例(2.4%)、[メトホルミン500mg+アナグリプチン]群は83例中3例(3.6%)に認められました。主な副作用は、[メトホルミン500mg+プラセボ]群のγ-グルタミルトランスフェラーゼ増加、頭痛が各1例(2.4%)、[メトホルミン500mg+アナグリプチン]群の便秘、消化不良など各1例(1.2%)でした。本試験において、死亡に至った副作用及び重篤な副作用は認められませんでした。投与中止に至った副作用は[メトホルミン500mg+アナグリプチン]群で1例(血中乳酸増加)に認められました。

まとめ

糖尿病患者さんの薬物治療においては、患者さんの腎機能を考慮した薬剤選択が重要であると考えられます。
メトホルミンとアナグリプチン(スイニー)の配合剤であるメトアナ配合錠LD・HDは、正常~中等度腎機能障害患者さんにご処方いただけます。
以下に示すような2型糖尿病患者さんの治療に、メトアナ配合錠LD・HDをお役立てください。

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